【地理】現役北大生の地理講座 第5回 単元別ポイント解説➁地形
こんにちは!現役北大生の高岡伶丞です。本シリーズは、主に共通テスト地理で80点以上を安定して取りたい受験生に向けた全25回のシリーズです。前回から単元別ポイント解説に入り、前回は地図について勉強しましたね!今回は系統地理のなかでも一番はじめに学習するにもかかわらず、いまいち得意でない人も多い「地形」の分野について学習していきましょう!
①ポイント解説
さて、「地形」の分野の主要な学習内容は、各地形の⑴成立要因、⑵地理的特徴、⑶その地形と人間の営為の関係の3点の情報です。よって学習に当たってはこれらをリンクさせることが大切です!また、⑶に関して「農業」や「都市・人口」分野、地誌分野などの地形以外の分野とも関連させて出題されるので、今のうちにしっかりと定着させていきましょう。
(1)成立要因
地形はその種類ごとに必ず「その地形ができた理由」がありますが、その理由は大きく、内的要因と外的要因の2つにわけることができます。内的要因とは地球内部のマントルやマグマの作用のこと、外的要因とは地球表面付近の風や降水、川の流れなどの作用のことです。内的要因によって作られる地形を大地形、外的要因によって作られる地形を小地形といいます。
大地形
ではまず、主な大地形についてまとめましょう。
地表は陸地と海洋に分けられます。地表の大部分を占める大陸には、平野や山脈があります。陸地はできた年代によって、平たんな安定陸塊、なだらかな古期造山帯、急勾配の新期造山帯に分けることができます。
主な陸地について、どの分類に当たるのかしっかり憶えておきましょう。特にアルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯からなる新規造山帯は頻出ですし、アパラチア山脈やスカンディナヴィア山脈などの古期造山帯は石炭の産出地となるためよく産業の分野と絡めて出題されます。
海底には、大陸の周辺に広がる大陸棚や、その奥に広がる深海平原や海嶺・海溝があります。ここで押さえておきたいのが、海嶺がプレートの広がる境界の上、山脈や海溝は狭まる境界の付近にできるということです。もう少し小規模な大地形は、火山やそれによってできるカルデラなどの地形、地震によってできる断層などの地形があります。
小地形
では次に小地形について見ていきましょう。主な河川や海岸に見られる小地形には、沖積平野,扇状地,自然堤防,後輩湿地,三角州などがあります。洪積台地,河岸段丘などの地形は急斜面と平地が繰り返されるのが特徴です。他にも砂嘴,砂州,トンボロなどの海岸地形、U字谷やモレーンなどの氷河地形、ワジ、メサ、ビュートなどの乾燥地形、石灰岩で構成されたドリーネ、ウバーレなどのカルスト地形があります。
ここで押さえておきたいのが⑶その地形と人間の営為の関係です。例えば扇状地には、扇頂、扇央、扇端があり、水はけの良い扇央は果樹園、湧水の出る扇端は水田などに利用されます。また、台地の上は水を得にくく、水田に適さないため、かつては畑や果樹園に利用されてきましたが、水道技術の発達や人口増加を受けてニュータウンなどの住宅街に利用されるようになりました。
土地利用の変化は共通テストでも頻出
このように、水の条件によって土地利用が異なるため、セットで理解する必要があります。また台地のように時代に応じて土地利用が変化する場合は、過去と現在の土地利用、そしてその変化の背景まで知っておく必要があります。土地利用の変化は2つの地図を比較する形で、共通テストでも大変よく出題されますので、よくあるパターン(桑畑→果樹園、田畑→住宅地etc)を確実に押さえておきましょう。
➁地形をマスターする上での注意点
この単元を学習するうえでは、上記の3点をセットで憶えることと、前回と同様に積極的に視覚を利用することが大切です。資料集やインターネットを利用して、実際にその地形がどのようなものなのかを見てみましょう。国土地理院監修の地図アプリなどで特徴的な地形を検索してみるのもオススメです。
また、あなたの住んでいる場所の近くにある小地形を見に行ってみることもいいでしょう。例えば私は千葉県の九十九里浜沿岸に住んでいたのですが、地元に多く見られる海浜や洪積台地を実際に見に行ってみました。ごく近場であれば勉強の息抜きにもなりおすすめです。また、「ブラタモリ」など地形をフィーチャーしたテレビ番組を視聴するのもいいですね。地理の勉強へのモチベーションも高まると思います!
視覚や体験から学ぶ
前回からの繰り返しになりますが、人間の脳は文字のみの情報よりヴィジュアルを伴った情報の方が記憶しやすいという特徴があります。まして体験を伴った学びであればなおさら憶えやすいのです。みなさんは「勉強」というと、机に向かってテキストを読んだり書いたりする、言わば文字情報の操作による学習を思い浮かべると思います。しかしそれだけでは不十分で、さまざまな体験を通して学びを得ることが重要です。
大学では、フィールドワークやグループワークといった、体験的学習に重きが置かれています。また大学入試もそういった学習によって得られる考え方を重視するようになっています。もちろん、テキストによる知識の入手を軽視してはいけませんが、そうして得た知識を五感を使って定着させ、考え方を身につけるということを高校生である皆さんもぜひ意識してみてください。
まとめ
今回は「地形」分野について学習内容のポイントをまとめ、学習のコツをお伝えしました!
簡潔にまとめると、地形分野の攻略には
①地形の成立要因、地理的特徴、人間の営為との関係をセットで押さえる。
②地形を資料集やインターネット、テレビなどでヴィジュアル的に捉える。近所にあれば実際に行ってみるのもあり。
この2点が重要です!ぜひこれを意識して学習に取り組んでください!地形に限らず、地理の学習は常に、事象の丸暗記ではなく、事象どうし、事象と自分の体験を連結させて憶えていくことを意識しましょう!
地形への理解を深めることは、受験での地理の出来をあげるだけでなく、今後の人生にも彩りを与えてくれることでしょう。次回の第6回は「気候」について取り上げたいと思います、
ではまた!
...この記事は現役北大生の高岡による地理の連載「百戦危うからず」の第5回の記事です。
イクスタの創業者、土井による論理的・戦略的な受験計画と戦略の作成
過去問に入る時期や基礎完成の時期などいつ何をやればいいか、完全にコントロールできるようになる必要があります。
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