陸奥国|日本史用語集
陸奥国の解説
東北地方の令制国で、今の青森県・岩手県・宮城県・福島県にまたがる地域にあった。東山道に属し、国府は多賀城、国分寺は今の仙台市に置かれた。
『古事記』には「道奥」(みちのおく)と記述されていたが、次第に「陸奥」(みちのく)と呼ばれるようになった。「みちのく」が「むつ」になった由縁は諸説あるが、陸が六の大字として用いられることから陸を六と書き、訓読みが充てられて「むつ」となったという説を本居宣長が『古事記伝』にて唱えている。
陸奥国は始め、孝徳天皇の時代に置かれたとされ、常陸国から分離したと言われている。718年に、陸奥国は、陸奥・岩城・岩背の3つに分割されたが、720年に再び陸奥国として統合された。
蝦夷に接する領域には蝦夷対策として陸奥按察使が置かれ、また、陸奥国府には鎮守府が置かれて軍事拠点となった。
平安時代には前九年の役と後三年の役を経て、平泉を拠点とする奥州藤原氏により支配されるようになったが、奥州藤原氏は1189年に源頼朝により滅亡した。鎌倉時代には関東の武士が地頭として配置され、のちには奥州総奉行が置かれた。室町時代には、幕府によって奥州探題が置かれた。