本当に数学が苦手な受験生へ、はじめからの方程式の勉強法 ~基礎の基礎編~
今回は大学受験で数学を使うことを視野において、方程式とは何なのか、どうすれば方程式を解くことができるのか。という悩みを解決していきます。はじめからの勉強法、ということで、中学数学も含めた本当に数学が苦手な人向けの方程式の勉強法に関する記事になっています。
“方程式“と聞いただけで「嫌だ!」「苦手だ!」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、方程式や不等式はきちんとした理解があれば、数学の中で難しい分野ではないのです。
苦手な人ほど基礎が抜けていることが多いので、まずは高校数学の方程式の分野の基礎となる中学数学の復習から始めましょう!
はじめからの方程式
まずは、用語から!
単項式・・・数や文字の掛け算だけで作られた式(1つの数字や文字も単項式)
ex). 3a , 4x2 , 7xy , 3 , p
多項式・・・単項式の和(足し算)や差(引き算)で表された式
ex). 4xy2+5x2‐9ab
このときの 4xy2 や 5x2 や ‐9ab のことを項という。
次数・・・数字にかけられている文字の数のこと
ex). 8abc2・・・次数:4(aが1個、bが1個、cが2個で全部で4個の文字)
x2y3z・・・次数:6(xが2個、yが3個、zが1個で全部で6個の文字)
同類項・・・文字が全く同じ項のこと
ex). ‐5x と 20x , 4xyz2 と ‐12xyz2
ちなみに、同類項は足し算や引き算でまとめることができるのは覚えているかな?
ex). 4xy2z3‐3xy2z3=(4‐3)xy2z3=xy2z3
そして、分配法則という法則もありましたね!
分配法則 (a+b)x=ax+bx
分配法則には高校の数学でもお世話になるので必ず覚えておいてください!
用語のおさらいはこれで終わりです。いよいよ方程式に入っていきましょう!
そもそも方程式とは、数量の関係を“=(等号)”を用いて表した式のことです。
x+y=z
こういう感じの式です。この式の意味としては、x+y と zの値の大きさが同じということです。例えば、x+y が5であるならば、zも5になります。
方程式では、“=”の左側を左辺、右側を右辺という言い方をします。ここでは、x+yが左辺、zが右辺となります。
等式にはこんな法則がありましたね!
A=Bならば
A+C=B+C
A‐C=B‐C
AC=BC (要するに、 A×C=B×C のこと)
A / C=B / C (要するに、 A÷C=B÷C のこと)
この関係は方程式だけでなく数学において基本中の基本なので、必ず押さえましょう!
方程式の簡単な問題を解いてみよう!
いよいよ方程式の問題に取り掛かってみましょう!
「~の方程式を解け」という問題をよくみると思いますが、そもそも「方程式を解け」とはどうすることかというと、簡単に言ってしまうとxの値を求めろと言うことです。(問題によってはxではなくaやyなど他のアルファベットの場合もあります)
xの値を求めるのがどういうことかといいますと、
x=◎
の形(要するにxに係数がない状態)にしてあげることです。
この形にしてあげることでxの値が等号(=)で結ばれた数字であることが分かりますよね!この形に持っていくためにすぐ上にある等式の法則を使うのです!
それでは実際におさらいも兼ねて方程式を解いてみましょう!
ここでは与えられている文字はxなので、xの値を求めるということです。
① x‐6=8
② 12x=72
③ x / 2=6
回答は下へ!
それでは上の問題の解説です。
① x‐6=8
x‐6+6=8+6 両辺に”6”を足す
x=14
② 12x=72
12x÷12=72÷12 両辺を”12”で割る
x=6
③ x / 2=6
x / 2×2=6×2 両辺に”2”をかける
x=12
*①では左辺の‐6をなくしたいので、両辺に6を足すことでx =◎という形に持っていこうとしている。②ではxの係数をなくすために両辺をxの係数である12で割っている。③では左辺のxの項の分母の2をなくすために、両辺に2をかけている。
どうでしょうか、ここまでが高校の方程式を勉強する上で基礎となる部分です。これらの内容はしっかりおさえて次に進んでいきましょう!
方程式の展開を勉強しよう!
さてここからは方程式の基礎となる展開についてです。
展開とは”複数の多項式で表された式を1つの多項式で表す”ことです。
難しいことを言ってるなと思っている人も多いと思います。
ですが、式で見てみるとそんなに難しくはありませんよ!
① a(b+c)=ab+ac
こんなのや、
② (a+b)(c+d)=ac+ad+bc+bd
こんなのです。分配法則と言われるものです。見たことある人もいるのではないでしょうか?
もっと丁寧にこの式の解説をすると、
①
これは割とわかりやすいですね!カッコの前のaがカッコの中のbとcの両方にかけられています。もちろん、マイナスの符号がついていた場合には符号が変わってきます。間違いやすいのが、aにマイナスの符号がついていた場合のかけ忘れです。
②
②はカッコのついた多項式同士のかけ算です。少し複雑にも見えますが、この式での展開のかけ算は上記の4通りしかありませんし、基本のやっていることは①のときと変わっていません。aをcとd両方にかけ、bもcとdの両方とかけるだけです。この場合にも符号には気を付けてください!
以上が基本的な展開の考え方でした。次は実践的な問題を使って説明していきたいと思います。
方程式の展開の例題
(x+6)(x+2)=____
このような問題です。よく見かける、xの多項式同士の展開です。このような2つの多項式に同じ文字が用いられている場合には、以下のような展開の仕方があります。
①
②
③
先ほどのやり方通りにやっていっても答えを出すことはもちろんできますが、いちいち展開を行っているのは時間がかかってしまいます・・・
そこで、上のようなxの多項式同士の展開の場合には、
①:x×x (xの2乗の項)
②:(6×2) x (xの項)
③:6×2 (xを含まない定数の項)
というようになります。これを一般形で表すと、
このような式になります。この式は単に暗記するのではなくパッと見で展開できるようになるくらいまで慣れるくらいにしておいてください。どのように慣れていくかというと、やはり、計算練習を繰り返していくしかありません。
また、
(2x+3)(3x—4)=____
このような式の展開にも慣れておきましょう。今回の場合では上の赤い四角で囲った式を用いるだけでは展開はできません。xの2乗の項(xの係数には気を付けて!)とxを含まない項に関しては同様の計算ができますが、xの項の計算が少し違います。そして、後ろのカッコの中の”‐4”にも注意しましょう!
このように、内側同士、外側同士をかけて足すことでxの項を求めることができます。そんなに難しい計算ではないですが、今回のように負の符号が出てきている場合には符号に気を付けてください。
方程式の展開 練習問題
今回も、何問か計算の練習をしてみましょう!このような計算問題はやればやるほど必ずできるようになります。どんどんいろんな問題にチャレンジしてみましょう!
① (2x+4)(4x+5)
② (—3x+2)(2x—4)
③ (—2x—3)(—6x+4)
④ (7x—4)(—8x+3)
[解答]
① (2x+4)(4x+5)=8x2+26x+20
② (—3x+2)(2x—4)=—6x2+16x—8
③ (—2x—3)(—6x+4)=12x2+10x—12
④ (7x—4)(—8x+3)=—56x2+53x—12
3乗の項を使った方程式を解く
ここまでは展開しても2乗の式までしか出てきませんでしたが、今回の展開では3乗の項も出てきます!頑張りましょう!
3乗の項まで出てくる展開なんて、とても大変なイメージを持つかもしれませんが、3乗の式の展開にも便利な公式があります!それが、
これです!本当にこの式が成り立つかどうかは地道に展開していけばわかるのですが、今回は①の展開のみやってみます。②~④も自分で展開をしてみると計算の練習にもなるのでおすすめです。
①
地道に計算を行うとこんなにも長くなってしまいます・・・。
3乗の展開を行うたびにこんなに長い展開を行うのは時間も労力も無駄にしてしまうので、上の①~④の公式は覚えてしまいましょう!例のごとく、覚えるというのはただ暗記するのではなく、たくさんの問題を解き、「体で覚えてしまおう!!」ということです。
3乗の方程式 練習問題
それでは最後にいつものように練習問題です!
①
②
③
①
②
③
③の問題は (a‐b)(a2+ab+b2)=a3-b3の公式に気付けるかどうかという問題でした。
この公式に気付くことができれば、a=x , b=1 となり、途中式を書かずとも答えが求まってしまいます。
やはり、このように公式を使いこなせることが大事です。1歩1歩少しずつでもいいので、頑張っていきましょう!
基礎の基礎編はここで終了です。何度も復習して定着させてくださいね。基礎が理解できたら、次は因数分解や不等式に進みましょう!
本当に数学が苦手な受験生へ、はじめからの方程式の勉強法 ~因数分解、不等式、指数法則編~ - イクスタ
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