脳科学界第一人者の2022年最新研究から学ぶ、記憶力を最大に上げるための科学的な勉強方法
こんにちは、早稲田大学教育学部出身 イクスタ代表・イクスタコーチ/土井万智(どいまさと)です!
私が日本で最も信頼・信用している、日本の脳科学の第一人者である池谷(いけがや)先生の最新著書から、脳科学的に正しい、記憶力を上げるための具体的な勉強方法をご紹介します。
今回は本書の中から、私がイクスタコーチの受講生に伝えたいことを要約したので、もしさらに詳しく知りたい場合にはぜひ本書を読んでください!750円なので得られる内容から比べたら絶対に損はしないと自信を持って言える内容です。
「人によ」らない!全員に当てはまる記憶法
大学受験を始め、社会人の勉強法でも、ネットや都市伝説などでさまざまな記憶術、勉強法が語られていますよね。古くは古代エジプトより、成功した勉強法は語られてきたとされています。それを語る本人はそれで成功したかもしれませんが、背景の違いで全員に当てはまらないことも多いです。
一方でこの本はあくまでも脳科学的に、脳の性質に基づいた勉強法が紹介されており、個人の主観によるものはほぼないため「合っているか合っていないかは人による」ことはほとんどないと考えていいでしょう。
◇目次◇
まずは記憶の仕組みを知る
本書は「16歳からの勉強法」というタイトル。これは14-15歳までと第二次性徴期を迎えたそれ以降の体だと脳の構造や記憶のメカニズムが変わってくるため、記憶の仕方を変える必要があるからです。もし「中学の時の方が記憶力が良かった気がする」という人がいたらそれは自然なことなんですね。なぜなら年齢とともに脳の特徴が変化しているから。脳の変化を捉えて勉強方法も変える必要があるんです。
明日の定期テストと大学受験本番では、脳の使っている場所が違う?
短期記憶さんと長期記憶さん
記憶には2種類、短期記憶(海馬)と長期記憶(大脳皮質)があり、それぞれ性質が異なります。
受験生が大学入試で使える記憶にすること、つまり長期記憶さんに覚えてもらうには、まず短期記憶さんに何度も覚えてもらって、長期記憶さんのところまで通してもらう必要があります。
短期記憶さんから長期記憶さんのところに行くにはハードルが高い?
人間の脳は生きるために必要な情報しか覚えないようにできているので、長期記憶にするためには高いハードルがあります。
◯ 短期記憶さん(海馬)に一度で覚えてもらえることは滅多になく、長期記憶にするためには最短でも1ヶ月ほどかかる
◯ 生きていくために不可欠な情報だと判断されればすぐに通してもらえるが、それ以外の情報は何度も繰り返し短期記憶さんに向けてアピールする必要がある
海馬さんに重要な情報だと認めてもらうには「そんなにしつこく何度も来るのだから、重要な情報に違いない」と思い込ませる必要があります。そう思い込ませるために、何度も復習が必要なのです。
長期記憶(大脳皮質)に刻まれしっかりと記憶した情報は、それからほとんど忘れることはありません。一見忘れたように感じても、無意識下でも覚えることができています。あとは短期記憶で引っ張り出せるかどうか、になります。
初見知識の記憶力に個人差がないって本当?
記憶力がいい人、記憶力が悪い人、がいて個人差があると思いますよね?
実は全く同じ条件での単語テストでは人にとって忘れる速度は同じで、個人差はありません。純粋な記憶力自体の得意不得意に個人差はないのです。個人差がないなんてちょっと信じられませんが、脳の構造上そのようなのです。
どんな人も、全く始めて触れる知識はだいたい4時間後に半分忘れています。また記憶の干渉と言って、1日に覚えられる情報には限度があり、たくさん覚えようとすると最初に覚えようとしたものをより早いスピードで忘れてしまうという性質があります。
こんな性質があるので、勉強は復習をメインにおくことが脳科学的には理に適った方法なんですね。忘れるのは前提として毎日の勉強を続けていきましょう!同じ範囲の勉強を繰り返すと忘れるまでの時間が長くなり、より長く覚えていられるんです。
一度覚えたものを完全に忘れてしまっているように感じること、ありますよね。実は脳は無意識下で覚えているので落ち込まないで!ポイントはいかに引き出すか。
復習の方法と期間、回数
ここまでご紹介してきた脳の性質を元に、理に適った勉強法を一度まとめます!
まず復習は絶対大事。初めて学んだことはどんなに遅くとも1ヶ月以内にもう一度学び直す!
1ヶ月以上経つと初めて学ぶのと同じくらい時間がかかってしまうので、一度目の勉強が限りなく無駄に近くなってしまいます。
復習の頻度に迷ったらこれでやってみて!復習の定番パック
じゃあ、どれくらい復習すればいいのか。池谷先生のおすすめの頻度はこちら。
① 学習した翌日に1回目
② その1週間後に2回目
③ その2週間後に3回目
④ さらに1ヶ月後に4回目
逆に復習しすぎると効率が落ちてしまいます。大学受験では膨大な量の学ぶべきことがあるので、一つの復習に時間をかけすぎると受験当日に間に合わない。復習は少なくてもダメだし、多くてもそんなに意味がないのです。
例えば太ももに怪我をしたとして、どんな良い治療をしても回復スピードには体がそもそも持っている力の限度以上に早く回復することはありません。これと同じように、復習スケジュールをどんなに過密にして回数を増やしても記憶力の成果はあまり変わらないんです。
一つの項目は最低でも3回は復習する。3回の内訳は、1日に3回復習するより1週間あけて合計3回復習した方がより効率のいい時間の使いです。
記憶力の豆知識:睡眠
志望校の試験日まで限られた時間の中で受験生活を送っていると「何時間寝るべきか」という難しい問題があります。昨年のイクスタコーチの受講生でも睡眠時間について悩んでいる受験生はたくさんいました。
一方、良い睡眠は海馬が記憶を定着させるために必要不可欠な時間です。
睡眠中に海馬が情報を整理できないと試験などで記憶が必要な時に取り出せなくなってしまいます。そのため、貴重な睡眠時間を削ってまで良い成績を取ろうと試みるのは長期的に見て無意味になります。
個人差はありますが最低でも6時間は寝た方が、睡眠時間を削って勉強するよりも成績が伸びます。
記憶力の豆知識:レミニセンス効果
レミニセンス効果とは、勉強した内容が少し時間経ってからの方が理解が深まること。
ある日突然ひらめいて分かるようになった、できるようになったという経験はありませんか?いわば、覚えたことは長い時間をかけて発酵して、理解が深まるという性質があるのです。
これも寝ている間に記憶が整理させて使える状態になったということです。
記憶力の豆知識:チャンキング法
グループ化した方が記憶への定着がよくなります。英熟語ではget at、get overなど、動詞もしくは前置詞をセットにして覚えた方が定着が良くなります。日本史では天皇や首相はセットで覚えたり、古文は敬語だけでセットで覚える方が、より記憶が定着しやすくなります。
記憶力の豆知識:バイオリズム
人間には、1日単位の短い周期から年単位の長い周期まで、さまざまな期間のバイオリズムがあります。このバイオリズムを崩すと海馬の神経新生が半分になって記憶力が低下してしまうのです。そのため、記憶力のためには休日の寝だめはしない方がいいんです。休日でも同じ時間に起きて、もし眠かったら15-20分の昼寝にしてください。
復習の回数を減らすのに定着率が上がる3つの方法って知ってる?
ここまで復習が大事なのは繰り返しお伝えしていました。一方でその次のステップとして大事なのは復習をいかに少なくするか、ですよね。
膨大な範囲を全て何度も復習するにはとても時間がかかってしまいます。英語の文法や数学のチャートを何度も復習しようとするとリアルに数百時間かかってしまいます。そんなに時間はかけられない。じゃあ1回あたりの記憶力を向上させるための工夫はあるの?
好奇心を持つときに出る脳波「シータ波」が出ている状態にする
楽しい、ワクワク、ドキドキを感じるときには記憶力が最大で10倍になることが分かっています。例えば食べ物や有名人など、興味があることはすぐに覚えられる経験はありませんか?
シータ派が出れば出るほど勉強の効率も上がるんです。気分が上がる教科から始めたり、気分が上がる参考書で勉強したりすることは科学的に見ても重要です。
気分を上げながら勉強できる工夫はありますか?
感情を司る「扁桃体」が活発になること
感情が絡んだ経験をより深く覚えていられるようになる性質があります。悲しみや喜びなどストーリーを絡めることができれば、より深い記憶になることが分かっています。
英単語や英文法を覚えるとき、生物用語を覚えるとき、日本史や世界史の事件を覚えるときは、できるだけ感情を感じながら覚えることができれば、より覚えていられるのでそんな教材を使いましょう!「うんこ漢字ドリル」が流行ったのもこれらと関係がある気がしますね。
受験に対する緊張感や不安も扁桃体を活性化して、記憶力が上がります。一方で強すぎるストレスは長期記憶を弱めてしまう結果にもなるので、適度な緊張感がちょうどいいです。
ライオン法
そのほか、より定着させるために簡単にできる3つのtipsをご紹介します。
空腹 グレリンというホルモンが海馬を刺激している
歩く 歩いているとシータ派が出ます。車や電車など、移動している時もシータ派が出ることが分かっています。
寒い 寒さを感じる気温だと危機を感じて記憶力が上がります。
3つを組み合わせると、できるだけ薄着でお腹空いた状態で散歩しながらだと記憶の定着が良くなるんです。
この3つの条件を満たしながら勉強するには時と場合をめちゃめちゃ選ばないと難しそうですが(笑)タイミングが合えばやってみましょう!
悔しいミス、悔しい失敗をするほど定着率が上がる
たくさんミスして、失敗しないと正しい記憶にならないことが分かっています。
記憶は「失敗」と「繰り返し」によって形成されて強化され続けます。
問題を解き間違えたり、ケアレスミスをしたり、テストで悪い点数を取ったり、解決策を考えて、また失敗して、を繰り返す。失敗するのは悔しいし、できれば避けたいんですが、たくさん失敗して反省して、次どうするかを考えることが記憶の定着には繋がります。
失敗前提で取り組んで、「悔しい...でもまあしょうがないから次頑張ろう」って思えるのが正解なんです。
イクスタコーチでも受験生が使っている教材を私も用意して、範囲を決めて定着できているかテストをします。できれば全問正解してほしいですが、間違えてしまうこともありますよね。
でも間違えること自体は悪いことではなくて、このミニテストに向けて緊張感を持って勉強すること、テストで口頭で答えて間違えたところは悔しくて覚えているだろうことを目指して、この定着確認テストを行なっています。
難しいことは小分けにすることで10倍の効率に
難しいことを覚える際には、それを2つのステップに分けると学習効率が10倍になることがあります。
数学や化学、日本史でもいきなり難しい問題集を始めるよりも、ちょっと簡単かな?これで物足りなくならないかな?と感じる教材を極めてから次の教材に進んだほうがいいんです。
基礎を身につけてから徐々に難易度を上げていった方が、結果的にはるかに早く習得できるんですね。
数学や化学、物理を勉強する際には、まずは簡単なレベルの教材にするか、基本問題だけで3周してから、次に難しいレベルに進んだ方が、かえって早く全てを極めることができるようになるんです。
例えば有名なマセマの「はじめから始める」とその兄弟の参考書も、最低3周、できれば5周しましょうと書いてあります。これも理にかなっているんです。
全体像を短めの時間で把握してから、細かい違いを学んでいく
日本史や世界史、地理など、覚えなければならないことが多く複雑な科目の場合には、最初からコツコツ分野ごとに極めるように勉強するのではなく、まずは各分野をざっくり学んで通史や全体を一周してから、細かいところを覚え始めてください。
細かい用語や年号は後回しで、まずは文章でざっくり理解していく方が後々の定着が良くなります。日本史や世界史であれば実況中継やナビゲーターを2ヶ月くらいで2周ほどしてから教科書に入るのがおすすめです!
全体から切り離された断片的な情報は十分には役に立たないので、それぞれの事件や用語は、メインの政治史とどう関係しているのかを意識しながら覚えることで、記憶の定着効率も上がりますし、March以上の入試問題ではそうした関係性の理解が求められます。
ある分野を極めると、他の分野を極めやすくなる!
ある分野を深く学んで理解できるようになると、その分野以外の習得も早くなり、これは学習の転移と呼ばれています。ある球技が得意な人は他の球技を上手くなるのが早かったり、ある楽器が得意な人は他の楽器が上手くなるのが早かったするのと似ています。
一つを極めるとコツのつかみ方がうまくなる、といってもイメージしやすいかもしれませんね。つまり、学べば学ぶほど、その科目も他の科目も学ぶ速さは加速し、成績が上がる早さも早くなります。
例えば日本史だと、一つの時代を極めてから次の時代に進んだほうが、次の時代も覚えるまでの時間が短くて済みます。脳は消耗することはなく、使えば使うほど性能が上がり続けていく不思議な装置なんです。
記憶力の豆知識:外発的動機
外発的動機とは、ご褒美のことです。「この勉強が終わったらお菓子食べよう」「テストで80点取れたら、1本だけ動画を見よう」など、やる気が上がる外発的動機を設けることは心理学的にも有効とされています。実際のモノ以外でも達成感を得ることができればなんでも大丈夫。自分のご褒美を作ってみましょう!
記憶力の豆知識:特恵効果
「自分の得意な面を活かして学習すること」です。苦手な分野に時間をかけるよりも得意な部分を活かした方が全体の効率が良くなります。苦手分野につまづいて時間がかかりそうだったら、好きだったり得意だったりしてサクサク進む分野から手につけてしまいましょう!勉強においては好きなものはあとに取っておかない方がいいようです。
記憶力の豆知識:作業興奮
「なんかやる気が出ない」こと、ありませんか?脳の側坐核という部位がやる気を司っており、側坐核が活動するにはまず刺激してあげることが必要なのです。そのためには、やる気が出なくてもまず始めてみることで側坐核を刺激して徐々にやる気が出て集中できるようになります。一番簡単にできることからでいいので、まず何かしらを始めて側坐核を刺激してあげましょう!
記憶力の豆知識:初頭努力・終末努力
何かを行うときの集中力は、最初と最後に高くなることが知られています。一つの勉強科目が長すぎると中だるみしてしまうことがあるので、もし長い時間を1つの教材で勉強すると中だるみしてしまう人は、1つの教材を1回60分までとして、それを1日に何度も勉強するように小分けにしましょう!
知識記憶と経験記録
名前やデータなど、そのものだけを覚えていて、何かきっかけがないと自分では思い出せない記憶のことを知識記憶と呼び、自分の経験が絡んだ記憶で、自由に思い出せる記憶のことを経験記憶と呼びます。
知識記憶はすぐに忘れてしまいますが、経験記憶は忘れにくい記憶です。こんな性質を利用して、いかに勉強したい内容を知識記憶ではなく経験記憶にできるか、を意識して勉強内容を変えていきたいです。
1つのことを何かに関連させることで一気に忘れにくくなる
単純な知識でも自分のことに関連させたり周辺環境に関連づけることで経験記憶になり、一気に忘れにくくなります。
他の内容と結びつけることを「連合」と呼びます。連合とは、例えば一つ一つの知識を「家」に例えると、家と家を道路で連結して「街」を作っていくイメージです。連合し続けて街をより大きく、大都市にしていくようなイメージです。
こうして連結していくことを「精緻化」と呼びます。
精緻化すると、それぞれの知識を単体で覚えているよりもどんどん思い出しやすくなっていきます。
語呂合わせは邪道じゃない!むしろ脳研究的には理にかなってる
英単語を覚える際にも自分の過去の経験に関連させたり、語呂合わせ、自分の勝手なイメージなどを関連させた方が思い出しやすい記憶になります。英単語や、日本史や世界史、化学でも参考書に語呂合わせが載っていますね。これらもどんどん使っていいし、自分でアレンジして覚えるのはむしろGoodです。
語呂合わせを覚えるときには、視覚的にイメージした方がより記憶に定着します。794年の鳴くよウグイス平安京であれば、ウグイスが鳴いているイメージをした方がより記憶に定着します。
人に説明するとすぐに経験記憶に
もっとも手軽な経験記憶の方法は、覚えたい情報を他人に説明してみることです。人に説明するときに、あのときこう説明した、こんな図を書きながら覚えた、うまく説明できなかった、などの関連記憶から経験記憶になります。
脳は知識を覚える「入力」より、蓄えた情報を使いこなす「出力」を重視しています。人に説明することで入力していた記憶が一気に深く定着します。受験勉強で問題演習とその復習が重要だと言われているのもこの理由からです。
経験記憶の注意点:経験記憶は時間が経つと経験を忘れてしまいどんどん知識記憶に変化していってしまいます。定期的に人に説明したり、問題演習とその復習をすることを心がけてください。
とにかく耳!音を使うと爆上がりする効率
耳を使った学習法は目しか使わない学習法よりもはるかも効率がいいです。例えば、ある歌の歌詞を思い出すとき、歌詞そのものは思い出しにくくてもメロディーに乗っていると思い出せる曲はありませんか?
脳に記憶させるためには、耳を使うとはるかに効率が良くなります。生物は進化の上で、目よりも耳をよく使って生き延びてきた名残で、耳を使ったことの方がよく記憶に定着します。
目で眺めるだけの勉強は1日20分まで、あとは五感を使った勉強を
何かを覚える際には、必ず手を動かして紙に書き、声に出しながら勉強してください。
例えば漢字を思い出す実験では実際に漢字を手で書けないと点数が下がってしまうように、五感と記憶は深く関係しています。5感を最大限使うことが定着への近道です。手と耳を使わないで勉強している時間は、効率が悪い勉強をしていると自覚してほしいほど、重要なポイントです。
イクスタコーチでも受講生には必ず音読の重要性と「眺めるだけ勉強」の効率の悪さは口が酸っぱくなるほど繰り返しています。暗記シートで隠すだけ、眺めるだけの勉強は簡単で楽にできる勉強ですが長い目で見ると効率が悪く、英語や歴史は必ず音読をメインにしてほしいと伝え続けています。
受験勉強後半は受験勉強前半よりも10倍のスピードで共通テストの点数が上がる
学習の転移でお伝えしたとおり、ある分野を深く学んで理解すると、他の分野を学んで定着させるまでの時間も早くなることをご紹介しました。
つまり、勉強すればするほど、二次関数的にスピードが上がっていきます。能力はあるとき突然爆発するように開花するのです。
これは毎年の大学受験生でもそうで、共通テスト50点くらいを取れるようになるまでには時間がかかりますが、共通テスト70点のところから85点までは早い受験生が多いですね。
すぐに結果は出なくても間違っていない勉強を続けていけばどこかのタイミングで爆発するように成績が伸びるタイミングが来るので諦めないでください。もし一度開花したら伸び続けますし、多くの人がそのタイミングではその科目が好きになっていて、勉強し続けることが苦でなくなります。
「嵐の前の静けさ」と「唐突な爆発」という成長パターンを示すのが脳の性質なのです。
成績は二次関数的に伸びていくので、逆に言うと、3-6ヶ月では思った通りの成績にはなりません。十分に成績を上げたいのであれば、1年はかかると思ってください。
趣旨のまとめ
ここまで本書の内容をご紹介してきました。箇条書きで趣旨をまとめたあとに、大学受験生がこれらの知識を毎日の勉強の中でどう実践すべきか、毎日受験生とガチの面談をしている私が今日からできる勉強法としてご紹介します。
・入試日まで覚えておくための長期記憶にするためには、覚えておかなければならない大事なルールがある。このルールを無視して勉強すると、効率が下がる。
・15歳くらいまでの脳とそれ以降では、覚え方のメカニズムが違う。
・短期記憶に「重要な情報だ」とアピールするためには、何度も同じことを学ぶ。
・何度も復習することで忘れるまでの時間を長くできる。
・復習しないと効率が落ちてしまうし、復習しすぎても効率がよくない。最適な復習のリズムを見つける。
・睡眠時間は絶対に確保する。週末お昼まで寝てしまうと海馬の新生神経が半分になって記憶力が落ちるので、朝起きる時間を崩さない。寝るなら昼寝にする。
・たくさんのことを覚えるときはできるだけグループ化する。
・シータ派を出すために気分を上げながら勉強する。気分が上がる教科から始めたり、気分が上がる参考書で勉強する。
・喜びや悲しみなど、感情的に勉強する。
・空腹、寒い、歩きながらで勉強する。
・学んだこと対するテストや演習を頻繁に行う。
・いきなり難易度が高すぎることは始めず、少しわかって少しわからないところから始める。
・科目や分野は1つがある程度できるようになるまで続ける。
・得意だったり好きだったり、テンションが上がる科目から始める。
・やる気が出なくても、まず何かを始めることで側坐核が刺激されて徐々にやる気が出てくる。
・1科目の勉強時間は60分ずつに区切ってみる。
・知識はできるだけ他の知識と関連させて覚える。
・覚えたことを人に説明する機会を作る。同様に問題演習の時間も欠かさない。
・勉強する際はできるだけ耳を使った勉強にする。紙に書いて音読する。
・眺めるだけの勉強時間はできるだけ作らない。
今日から記憶力を上げるための工夫
・毎日日記にその日に勉強したことを箇条書きにする。ページ数や問題番号、章を数字で記入する。
・毎日勉強の最初は復習の時間を取る。最初の30分は昨日やったこと、その次の30分は1週間前にやったことの復習。復習の内容は日記を振り返って進める。
・毎日最低6時間は睡眠時間を確保し、休日も遅くとも9時には起きる。
・理科や社会は一つの分野が終わったら、オリジナルノートに改めてまとめ直す。
・やる気が上がらないときは、一番好きな教材を30分勉強する。
・教材を選ぶときはできるだけ人間的なストーリーが含まれているもの選ぶ。
・勉強中は満腹にならないように注意する。
・1日中勉強するときは朝と夕方に散歩する。散歩しながら音声教材をリスニングする。
・教材の1つの分野を1周したら、全然分かってなくてもいいのでテスト形式で定着を確認する。
・いくつかの教材で迷ったら、必ず簡単な方を選ぶ。
・やる気が出ないときは、何もしなくてもいいのでとりあえず机に座って教材を眺める。
・人にクイズを出してもらう。教材を見ながらでいいので答える。
・覚える系は毎日必ず音読する。眺めるだけの時間を最小限にする。
頭で描いて、心でやり切る。/土井万智(どいまさと)/早稲田大学教育学部出身/イクスタ代表
イクスタの創業者、土井による論理的・戦略的な受験計画と戦略の作成
過去問に入る時期や基礎完成の時期などいつ何をやればいいか、完全にコントロールできるようになる必要があります。
> 論理的で抜け漏れのない受験計画の立て方が分かる イクスタコーチ