古文の基礎ってどこまでやればいい?基準ってある?ーインタビュー
宇宙語で呪文のような古文。受験勉強を本格的に始めるまで学校の授業もまともに聞いていなかったという人も多い科目だ。
大学受験を本格的に始めてから、志望校の合格点を取るために効率的な勉強法はあるのだろうか?
「独学でも難関大学に逆転合格」をテーマにメディアを運営し自身でオンラインの面談を提供しているイクスタコーチの土井に、古文を最速で固めるためのコツがあるのか聞いてみた。
最初がとっても辛い古文
ーー早速ですが、古文、つまらない科目じゃないですか?
土井:うーん、古文最初は辛い科目ですよね。特に最初の20時間くらいは般若心境を書き写すような苦行に近いですよね。
ーー単語も全然覚えられないし、助動詞も何のためにやってるかいまいち実感が湧かないです。
土井:古文単語は覚えにくいですよね。毎年の受験生と話していると、古文単語は英単語の4倍覚えにくくて時間がかかる人が多いです。例えば英単語は毎週100個程度を目標にする人が多いですが、古文単語は30個程度を目標にすることが多いです。
ーーなんでこんなに覚えにくいんでしょうか。
土井:文字列が似ていてニュアンスも似ている単語が多いので、その単語のイメージを作りにくいんですよね。英単語だと一語一義で覚えていればパッと意味が出てきやすいんですが、古文単語は1つふわっとしたものが挟まってしまってダイレクトに口に出てこないってことがありますよね。
ーー何かコツはありますか?
土井:古文単語を音だけで覚えようとしてしまうと記憶に残りにくいので、1単語ごとのイメージをしっかりと絵でイメージすると記憶に残りやすいかもしれないです。最近の有名な古文単語帳は単語ごとのイメージがしっかり書かれていることが多いので、その絵を見ながら20秒くらいその単語のイメージをしっかりと頭の中に作るのがおすすめです。
古文の基礎を完成させるための必要な知識はどれくらい?
ーーどれくらいの単語数を目標に進めていけばいいですか?
土井:まずは基礎として120から150単語を目安にしていくことをおすすめします。これくらいの単語を覚えることができれば読める文章も増えるはずですよ。有名な単語帳は120から150単語くらいを基準に基礎編になっているので、そこを基準にすればいいんじゃないでしょうか。
ーー単語以外に古文の最初にやるべきことはありますか?
土井:単語と一緒にまず文法をやっていきましょう。レンガを積み上げていくイメージをするとしたら、単語がブロック、文法はブロックとブロックを繋げるモルタルのようなものになるんですね。文法までやれば読める文章は格段に増えますよ。
ーー文法って助動詞ですよね。活用系とか覚えるのつまらないです。
土井:文法も単語と同じくらいつまらないイメージがありますよね。「ず・ず・ず・ぬ・ね」みたいなの、なんの意味があるの?って思ってしまいますよね。
ーー覚えられる気がしないです
土井:僕も現役時代はつまらなかったですけど、これはやり切るしかないですねえ。後から振り返ってみれば覚えなきゃいけない量がめっちゃ多いかというそうでもないので、文法の最初はなんとか我慢して、何度も何度も繰り返し覚えるしかない。古文は単語と助動詞さえ固めてしまえば古文の勉強の半分くらいは終わっています。実際に共通テストでも単語と文法の簡単なルールを覚えれば正解できる問題もあるんです。なので、ここは踏ん張りましょう。
ーー助動詞はどれくらいやればいいですか?
土井:最重要なのは15個程度です。15個の助動詞の意味と活用と接続のパターンに集中します。意味と活用を暗記してから、例文の中での意味を見分ける練習をします。例文に傍線部が引かれていて傍線部の意味を答えるような問題で実際の使い方を覚えていきます。
ーー他にも古文の基礎で大事なことはありますか?
土井:単語、文法と並んで「敬語」も基礎の範囲です。敬語は単語帳の中にも載っているので尊敬語や謙譲語という言葉は聞いたことがありますよね。
ーー普通に単語として覚えればいいんじゃないですか?
土井:それがちょっと違うんですよね。敬語は敬語の一分野として時間をかけた方がいいです。文法の教材にも「敬語」ってテーマで設定されているものもあります。
ーー敬語はどんなところで大事になってくるんですか?
土井:古文って入試では文章題が出題されます。15〜25行くらいの文章題を解いていきます。文章題には貴族が出てくることが多いんです。貴族が出てくる時に敬語の運用能力が必須になってくるんですね。
ーー貴族って天皇とかですか?
土井:そうです。天皇とかその付き人にまつわるエピソードが物語として出てくるんですね。天皇って宇宙で一番偉い存在で、「名前を呼んではいけないあの人」なので、「『天皇』は言った」とか「『天皇』にこう申し上げた」みたいに直接その名を呼ぶことはしないんですね。その名を直接呼ばない代わりに、敬語を使って「このセリフは天皇に言ってるんだな」と周りに悟ってもらうんです。
ーー文章題を読んでると話がどうなっているか分からなくなることが多いんですが、それって主語が分からなくなっているからのような気がしてきました。
土井:そうなんです!古文は主語が省略されることが多くて、それを敬語で補うことができるようになれば一気に読める文章が増えるんです。単語・文法・敬語の3点セットが古文の基礎なんです。
古文の基礎を完成させるためのおすすめ参考書は?
ーー古文の基礎を完成させるためのおすすめの参考書はありますか?
土井:単語帳は最近はイメージを掴めるようになっている単語帳が多いのでどれもいいですが、もし迷ったら「読んで見て覚える古文単語315」桐原書店や「古文単語330」いいずな書店がおすすめです。
ーー古文の文法はおすすめありますか?
土井:ゼロから勉強し直すのであれば「岡本の1冊古文文法」(KADOKAWA)がとてもわかりやすくておすすめです。この参考書はスタサプの授業を元にした参考書で、語り口調で書かれているのでゼロから勉強する場合でもおすすめです。ただ分量とページ数が多いので、学校の記憶が多少ある場合には重く感じてしまうかもしれません。学校の多少は記憶ある場合にはステップアップノート(河合塾)か、古文ヤマのヤマがおすすめです。
ーー古文は基礎を固めたら共テでどれくらい取れるようになりますか?
土井:今日ご紹介したような単語・文法・敬語の基礎を固めることができれば共テで60%程度は取れるようになります。文法の識別や和歌の読解ができるようになると読める文章はもっと増えていくし実際の入試問題でも得点できるようになりますよ。
ーー他にはアドバイスはありますか?
土井:古文は共テで使うか私立で使うか国公立で使うかによって最後のレベルと使うべき参考書も違うので、逆算して無駄のない年間計画で進めることができればいいですね。大学受験は常に年間計画を全部立てて、あとからペースに合わせて柔軟に変えることができるようにしたいです。私は普段独学の受験生向けに、オンラインの面談で年間計画と週間のタスクを作る楽しい面談をしているので、もし受験を始めてから本気になれていなかったらぜひのぞいてみてください!
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他にも、古文をゼロから難関大学合格までに持っていくための勉強法やおすすめ参考書を詳しくご紹介しています。こちらも参考になさってください。
【古文】1年間で難関大に合格するレベル別おすすめ参考書と勉強法を分かりやすく徹底解説!
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