現役東工大生に聞いた!東工大の英語を対策する上で知っておきたい勉強法や参考書
Youflex株式会社でイクスタコーチ塾長の土井万智(どいまさと)が独学の大学受験生に向けてお送りいたします。
今回は東工大の英語で合格点を取るための方法について述べていきます。
今回紹介していく対策法は東工大に合格した現役東工大生に聞いた対策法なので、東工大を目指す受験生はぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
◇目次◇
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1. 東京工業大学の入試情報
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2. 東工大英語の勉強法
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5. おわりに
1.東工大の入試情報 | 共通テストで600点以上が必要 | 二次試験の配点は数学300点、英語150点、物理150点、化学150点 | 試験時間は数学180分、英語90分、物理と化学は各120分 | 合格最低点は450点前後 |
2.東工大英語の傾向 | 長文問題が2題出題される | 和訳と英訳が重要 | 内容説明問題がある | リスニング問題はない |
3.勉強法とおすすめの参考書 | 英単語は「システム英単語」や「速読英単語」 | 英文解釈は「ビジュアル英文解釈」 | 和文英訳は「よくばり英作文」 | 過去問演習は「東工大の英語15カ年」や「東京工業大学への英語」 |
東京工業大学の入試情報
東工大には4つの入試方式があります。
前期日程
後期日程 (第7類)
推薦入試 (第1類)
AO入試 (第2~7類)
今回は、最も一般的な(1)の前期日程についてご紹介していきます。また、この入試情報は特筆していなければ平成29年度入学試験の予定と平成28年度入試の結果に基づいています。
東工大入試の配点について
前期日程では、共通テストを他の国公立大と同じく5教科7科目受験する必要があります。
ただ、東工大の合格の仕組みが他の国公立大と違うのは、共通テストの5教科7科目で950点中600点を取れなければ不合格ですが、600点を超えたらあとは共通テストの点数については不問で、合否は2次試験の点数のみで決まるという点です。
950点満点ということは“圧縮”なしであり、理論上は2次試験でも使う4つの科目、英語(筆記)、数学IAIIB、物理、化学が全て満点なら600点に届く計算になります。
東工大は2次試験がかなり難しいというのもあり、合格のためには共通テストよりもむしろ2次試験に重きを置いて勉強することが大事になります。
試験時間は数学と理科科目が長い
2次試験は通例2日間かけて行われ、1日目は数学(180分)と英語(90分)、2日目は物理(120分)と化学(120分)という別れ方になっています。
1日あたりの科目こそ少ないですが、理数科目の時間がかなり長く、集中力が必要となります。とくに数学はおそらくAO推薦入試を除き日本最長の試験時間で、この時間で5~6題をじっくり考えることになります。
配点や問題は類によって変わりません。数学が300点、ほかの英語・物理・化学が150点ずつです。また、合格最低点は例年400点前後です。これをもとに各教科の目標点数を考えていきましょう。今回はとりあえず、合格最低点はおよそ450点と考えましょう。最近3年ほどは、どの類も合格最低点が450点未満です。もっとも、実際は450点はかなり高い点数だとも思いますので450点を目標にしておけば不合格になることは考えづらいと思います。
各科目で取っておきたい点数
以上の配点からわかるように、まずとにかく数学対策が大事になります。詳しい問題傾向はあとでご説明しますが、数学では7割を確保しておくことができればと安心感を持って他の科目の対策をすることができます。
数学で7割の点数を取れれば合格最低点である450点に届かせるためにはあと240点を3教科で分ければよいのですから。
東工大受験では数学が苦手なのは致命的で、せめて5割5分(165点)、内訳としては5問中2問完答+かなり部分点 は欲しいところです。
英語に関しては、東工大受験生には英語が苦手な人も多いので、2次試験の150点中100点ぐらいを安定して得点できるとかなりアドバンテージになります。
英語が本当に苦手でもが数学と理科の力だけで入学するという例も私の周りでたまに聞きますが、大学入学後に英語の外部試験の受験が義務付けられていたりするので、受験勉強の段階から英語をやっておいて損はありません。
物理は時間の長さもあり、かなり問題が重厚ですが、実は難問奇問の例はあまりないので、地道に盤石な基礎を築いていれば100点ぐらいならすぐ取れるようになります。落ち着いて、集中して考えることが肝要です。
化学は、昔は難問が多く鬼畜な科目とかレジェンドとか言われていましたが、最近はかなり易化が進んでおり、物理と同様100点ぐらいなら意外とたやすく取れます。むしろ化学が苦手でなければ稼ぎどころとまで言われています。
というわけで、例えばプラン例として450点を目指し、数学で210+英語・物理・化学で80ずつなどや、数学で170+英語で80+物理で110+化学で90などが立てられます。
もちろんこれは一例なので、ご自分の得意不得意に合わせて一度立ててみてください。実際、450点はかなり高い目標ですが、勉強するときは少しぐらいハードルをあげましょう。
さて、以下では本題である東工大英語の傾向と対策について解説します。それに伴い勉強の方針や参考書を紹介します。
東工大英語の難易度
東工大の英語は、他の最難関大学と比べると、このレベルの受験生にとっては割と標準的と言えるでしょう。東大のようなリスニングや大意要約も、京大のようなこなれた日本語の和文英訳も出ていません。
本当にオーソドックスな、長文の内容把握や下線部和訳・英訳が中心です。よって、英語が得意な人にとっては、かなり稼ぎどころと言えるでしょう。
東工大英語の傾向
続いて、東工大英語の傾向について述べていきます。
近年、語数が増えてきている
問題全体の特徴としては、ここ数年でかなり文章量が多くなったことが挙げられます。
長文問題は2題出題され、大体1題が1500字~2500字の超長文で、もう1題が500字~1000字といった語数となっています。
超長文の方は内容自体は簡単なので、速読力が大切になります。
バランスのとれた英語力が求められる
内容自体は難しい概念や構文・語彙を扱っているというわけではありませんが、むしろ細かい内容一致問題もあることから速読と精読のバランス力、および文の要旨と論理の素早い把握能力が求められていることになります。
日頃から長文、とくに1,500語を超えるような長文を読む機会をつくると有効でしょう。
長文問題は理系分野からの出題が多い
長文の分野については様々ですが、「イルカの知能について」や「数値データの扱い方」といった理系分野の文章が比較的多いです。とはいってもアンコールの滅亡に関する文章が出たりもしたので、やはり長文読解の基礎から着実に固めるのが無難でしょう。
高校の学習過程で有利不利が起きにくいテーマが選ばれているとはいえ、アカデミックな内容をもつ長文が比較的多いので、そのような語彙や知識を身につけておくと内容の把握がスムーズになりやすいでしょう。
以下からは個々の問題について掘り下げていきます。
下線部和訳は基礎が問われる
下線部和訳は特別難しい構文把握や語彙が求められているわけではなく、とにかく基礎的な部分を固めることがまず重要です。訳語の日本語についても、多少ぎこちなくても内容や構文をしっかり反映させるほうが大事だと思われます。
和文英訳は文章の一部が日本語になっている
和文英訳は文章の一部が日本語になっており、それを訳すという内容の出題が続いています。
口語訳や日本語自体がこなれすぎているということもないので、標準的・基礎的な対策が効果的です。一見難しそうな語彙や表現でも本文中のものを使える場合があるので、和文英訳を解くのは他の問題より後回しにしても良いかもしれません。
内容説明問題は標準的な難易度
また、内容説明問題も毎年出ています。これも標準的な長文対策、内容と論理展開をしっかり把握することを意識して読めば、それほど恐れることはありません。これにあたる問題は難しくなりがちという話もありますが、難しいのはどの受験生にとっても同じなので、焦らず解答箇所を見つけましょう。
リスニング問題は出題されない
東工大英語はリスニング問題は出題されません。共通テストでしかリスニング対策はしないので、基礎的なリスニング力だけをつけましょう。
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東工大英語の勉強法
ここまで何度も述べているとおり、東工大の英語に関しては王道、基本、堅実といえるような対策が一番有効です。
英単語は五感を使って覚えよう
2次試験にリスニングがないとはいえ、なるべく五感を使った方が英単語は覚えやすいのでリスニング音声と音読と書き取りを使って単語を覚えるとか、毎日英語長文に触れ、それも音読したり、把握しようとした意味や自分の訳が怪しい単語は積極的に辞書をひいたりして英単語を覚えていきましょう。
和文英訳は先生に採点を頼もう!
和文英訳の演習も必ず行い、できれば学校の先生に添削してもらいましょう。これらを長く継続し、1,500語の長文がらくらく読めるようになったらしめたものです。らくらくとまではいかなくとも、継続は力なりという言葉もありますし、語学は継続ありきです。入試本番まで堅実に勉強してください。
日ごろからニュースを意識しよう!
なお、一般教養的な社会とか、ニュースを読んでおくことも実は英語長文対策には重要です。はじめて読む内容か、ほんの少しでも聞いたことがある内容かでは把握速度が段違いですから。本番ではすでにもっている知識と同じものが出るとは限らないものの、やって損はないことです。息抜きにニュースを調べるなどしましょう。
東工大英語の対策におすすめの参考書
というわけで、その「王道、基本、堅実といえるような対策」に使える参考書を紹介しましょう。
ちなみに文法書については、皆さんに学校で配られた、使い慣れているものでまったく構いません。
英単語帳
刀称 雅彦、霜 康司『システム英単語』(駿台文庫)
風見 寛『速読英単語』シリーズ 必修編、上級編(Z会)
やはりこの辺、これらのどちらかをやると良いでしょうか。私は速読英単語のほうを使っており、長文を素早く読む力と単語力が同時に身につくという実感がありました。なお、速読英単語を使うなら上級編までやりきるのがおすすめです。前述のアカデミックな語彙も身につきますし、そのような長文も慣れることができます。
使うときはCD音声まで、さらには(電車の中とかでなければ)音読まですると、様々な器官を使えて一気に覚えられるようになります。
速読英単語について詳しい特徴や値段や難易度などを知りたい受験生は以下の記事をチェック!
刀称 雅彦、霜 康司『システム英単語 Premium(語源編)』(駿台文庫)
語源・接頭辞・接尾辞の知識も多少身につけておくことで、初見の単語に対する対応力が段違いになります。アカデミックな内容の長文が出る以上どうしても初見の単語は避けられないので、そんな力もぜひ身につけておきましょう。
英語長文編
伊藤 和夫『ビジュアル英文解釈』Part1, 2 (駿台文庫)
安河内 哲也『英語長文ハイパートレーニング』シリーズ1, 2 (桐原書店)
この二つは、長文の基礎固めです。ただ、前者は構文中心、後者は長文中心の参考書であり、微妙に内容が異なることに注意してください。それぞれの分野で違った他の参考書もあることでしょう。私は、ハイパートレーニングは使わず後述の東工大への英語を使って演習していましたが、好みはあるかもしれません。
ビジュアル英文解釈は、PART1レベルはしっかり抑えておきたいところです。PART 2は多少レベルが高く一部の問題は東工大に対してはオーバーキルな可能性があるので、もちろん多少勉強はしますが、本当に完璧にするよりは演習を優先したいところです。
和文英訳編
竹岡 広信『よくばり英作文』駿台文庫
和文英訳用の参考書をひとつやっておきましょう。自由英作文とかではなく、英訳の定型を身につける感じで。この参考書はその中で私が使って東工大志望のみなさんにおすすめしたいものです。
なお、解答と違う英文を作ったとき、間違いかどうかがわからなかったら、必ず学校の先生などに添削してもらいましょう。また、自由英作文はここ十数年出ていませんが、併願校の対策とか(例えば慶應大では出ています)、単純に英語の表現力を増すという意味で、多少余裕があればやって先生に添削してもらうと良いでしょう。
過去問演習編
朝日 良次『東工大の英語15カ年』教学社
駿台全国入試模試センター編『東京工業大学への英語』駿台文庫
東工大英語がオーソドックスということは、過去問や予想問題がすべての英語に通ずるオーソドックスな演習となるということです。というわけでこの2冊のどちらか片方、演習として解くと良いでしょう。
私は両方持っていましたが、主に使ったのは前者の『15カ年』でした。ただ超長文に対応するため後者も半分ぐらいこなしました。前述の『ハイパートレーニング』をやっていれば片方だけでも良いと思います。
東工大英語の過去問の使い方
過去問もオーソドックスな演習、と先ほど言ったとおりです。
時間配分に関しても特筆すべきことはなく、90分のうち2題を40分ずつで、あとは問題難易度や長さで多少調整、というのが目標でしょう。何度も言っている通り素早い内容把握が肝要なので、演習でしっかり身につけましょう。
おわりに
目的意識がないと勉強というのは捗りません。ということで大学以降で英語をどう使うかという話です。
今や世界の覇権言語は英語です。最新情報は常に英語でやりとりされ、科学論文は基本的にすべて英語です。データベースなどを使うときも英語が使えないと話になりませんし、最新情報を英語で手に入れ英語で発信しないと理工系の研究やその発表なんてできません。そのため、東工大はオーソドックスな内容を入試にしつづけているのでしょう。
なにも英文学の素養をつけろというわけではなく、世界についていく・世界を引っ張っていくために英語が必要なのです。
入試勉強はそのための土台になります。執筆している私は英語がわりと苦手でしかも大学3年という青二才で、何偉そうなことを言っているんだという感じですが、ここに書いたことは間違い無く事実です。頑張ってください。
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現在は横浜の事務所でWebサイトやYoutubeなどのメディア運営と、オンラインの面談で受験生の独学を支援。東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県など首都圏を中心に、愛知県や兵庫県など、北海道から沖縄まで全国の受験生がイクスタコーチで志望校に合格。MARCH受験者の90%以上がMARCHを確保。
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