東大に合格した僕が教える東大日本史を対策する上で知っておきたい勉強法や参考書
こんにちは。イクスタ編集部です。
今回は東大日本史の対策法について述べていきたいと思います。
これから説明していく対策法は実際に東大に合格した現役東大生に寄稿していただきました。東大志望の受験生はぜひ参考にしてくださいね。
◇この記事の目次◇
東京大学の入試情報
各科目の配点
東京大学の入試(文系)は、共通テストと二次試験の合計得点によって判断されます。共通テストは5教科7科目または6教科8科目の900点満点を110点に圧縮します。二次試験は、国語120点、地歴2科目各60点、数学80点、英語120点を合計した440点満点です。
東大日本史の配点
日本史の配点は二次試験の得点のうちの約14%を占める60点です。本番ではだいたい30点後半以上の点数で合格者平均の水準に達します。
入試時間は2科目合わせて150分
地歴2科目合わせて150分です。そのため、片方の科目を60分程度で早めに終わらせてもう片方に時間をかけるなど、150分を自由に使って解くことができます。
世界史、地理は日本史に比べて記述量が多く時間がかかる科目なので、日本史は150分を2で割った75分よりも少ない時間で解けるようになると時間配分が上手くいくと思います。
東大日本史の難易度
東大の日本史の出題は与えられた資料を読み込んだ上で設問に答えるという点で非常にユニークな問題になっており、対策のし始めは取り組みづらく感じるかもしれません。しかし、解き方と頻出テーマへの理解を身に着けていけば段々と解けるようになっていきます。
解答に必要とされる知識は学校で使われる教科書のもので十分です。東大日本史は知識の総量を問われるものではなく、基礎的な知識を活用して未知の資料を読解する能力、論理的に解答を作り上げる能力が問われる試験です。
東大日本史の傾向
文字数指定のない論述問題
東大日本史は、大問4問から構成され、第1問は前近代、第2問は中世、第3問は近世、第4問は近代からの出題です。
問題はすべて論述問題で、基本的に文字数指定のない問題が出題されます。「〇行以内で述べなさい」など行数で指定してくるのが特徴で、細かい字数を気にしなくていい分書きやすさはあります。
分野は万遍なく出題される
上で見たように、基本的には各時代からまんべんなく出題されます。ただ、前近代の律令制、中世の土地制度など、重要テーマであるために何度も繰り返し出題されている分野があります。このため、過去問を研究することが高得点の近道となります。
東大日本史の勉強法
続いて、東大日本史の勉強法について説明していきます。
参考書はインプット用とアウトプット用を用意しよう
東大日本史の勉強には、知識のインプットと、獲得した知識のアウトプットの両方が必要とされます。そのため、教科書を使って基礎的な歴史知識を蓄えるだけでなく、普段から過去問に触れ、論述答案を自分の手で作ることで、すでに勉強した範囲が定着しているかを確認することが大切です。
高2の夏から本格的に受験勉強を始めよう
学校の勉強が進んでいたり、自分で勉強を進めていたりしている人は高2の夏頃から本格的に勉強を進めていくといいと思います。
普段の学校の定期テストに向けた勉強は教科書の知識を覚えることがメインで、覚えた知識をストーリー形式で体系的にインプットすることは少ないと思います。
教科書を使って5W1H+1Rを意識しながら覚えよう!
はじめは教科書をひたすら読み込みましょう。その時に気をつけてほしいのは、共通テストで出題されるレベルの歴史的な出来事(例えば大化の改新や承久の乱など)について、5W1H+1R(いつ、どこで、だれが、なにを、どうして、どうやって+その結果どうなったか)を押さえながら読んでいくことです。
僕自身は山川の一問一答を使って、語句を見て自分でその語句が簡潔に説明できるかを確認していました。普段とは一問一答の使い方を反対にすることで、東大入試に必要とされる、歴史についての正確な理解が可能になります。
高3の夏休みは集中的に社会科目を勉強しよう
学校の進度の関係で、高3から本格的に始める人も、勉強の内容は変わりません。特に高3の夏休みは集中的に地歴に時間を注ぐことができる機会ですので、ここでしっかりと勉強量を確保しましょう。日本史は直前に伸びる科目なので、スタートが遅い場合でも粘り強く取り組んでいきましょう。
東大日本史の論述問題の書き方
問題の要求に対して正面から答える
東大の論述問題を解く上で一番大切なことは「問題の要求に対して正面から答える」ことです。
例えば、2003年第4問設問Aは、「下線部(1)「米の配給」はどのような背景の下で何のために作られた制度か、2行以内で説明しなさい。」という内容ですが、ここで解答の軸になるのは、「米の配給」が作られた背景と理由です。
解答は背景と理由のどちらも含んでいなければなりませんし、片方を外してしまうと大きく減点されてしまいます。上の例は分かりやすいものですが、問題によっては解いているうちに何が問われているのかを忘れてしまうような問題もあります。「問題の要求に対して正面から答える」ことを常に意識しましょう。
なぜ問題の要求に正面から答えなければいけないの?
なぜこれを意識してもらいたいかというと、2つ理由があります。
1つめには、東大は自分の持っている知識を、論理的に筋道をたてて相手に伝えることのできる人材を求めているからです。よく言われることですが、問題を解くことは「出題者との対話」であり、円滑なコミュニケーションが要求されます。
2つめには、東大の論述の採点では短い期間に大量の答案をさばかなればなりません。そのときに、設問に対してストレートに答えている答案のほうが読みやすく、採点者にいい印象を与えるからです。
もっと具体的に日本史の論述の書き方を知りたい!どうやって書けばいいかわからない!そんな受験生も多いと思います。日本史の論述に関して詳しく知りたい受験生は以下の記事を参考にしてみてください!
東大日本史対策におすすめの参考書
詳説日本史(山川出版社)
歴史の流れについて基本を押さえるために必須の教材です。始めは表現がシンプルで読んでいて退屈するかもしれませんが、勉強が進んでいくにつれて教科書の記述の無駄のなさに感動するようになるはずです。(笑)
教科書の記述は論述の答案にそのまま使える箇所もあり、勉強が進んできたあとも何度も読み返して常に答案に生かせないか確認しましょう。
中学生から使える詳説日本史ガイドブック
野島先生が東進で東大クラスを担当していた時に使っていた教材を書籍化したものです。
勉強法の部分で説明したように、5W1H+1Rを意識して教科書を読んでいたとしても、教科書の章立てなどの影響で知識がバラバラになってしまうことがあります。しかし、この教材は歴史を「鳥の目」の視点から、いわゆる鳥瞰的に眺める方法を教えてくれます。
この本を横において教科書と交互に読むことで、バラバラに見えていた教科書の知識が繋がり、深い歴史理解を得ることができます。
東大日本史問題演習(東進ブックスの東大対策シリーズ)
こちらも野島博之先生が書いた参考書です。(決して僕は野島先生のまわし者ではありません(笑))。東大入試で求められている能力から実際に日本史の答案を書く上での具体的なアドバイスまで書かれていて、とても役に立つ参考書です。
教材の中では東大入試の頻出テーマについて過去問を解きながら学ぶことができ、さらに巻末には野島先生監修の模擬テストもついています。この模擬テストの質がとても高く、本番まで繰り返し使うことができる教材です。
元祖 日本史の年代暗記法(大学JUKEN新書 旺文社)
一見するとただのゴロ合わせ年号暗記本ですが、この本のスゴさは、見開きの右側のページにあります。
見開きの右側のページには見出しの年代に関連する歴史事項が並べられていたり(例えばヤマト政権の海外進出についての重要な年号が一覧でまとめられています)、他にも貨幣史といったテーマごとのまとめがあったりと、教科書の通読ではおろそかになりがちな「時代を越えたタテの繋がり」を整理してくれます。
山川一問一答日本史(山川出版社)
上で述べたように、東大日本史対策の場合、一問一答は、語句を見てその語句を自分で簡潔に説明するという使い方をしましょう。説明を見て語句を答えるという使い方は、論述力の向上には役に立ちませんので、定期テスト前や共通テスト直前期のみにとどめましょう。
東大日本史を対策するための参考書の使い方
上記で紹介した参考書の大まかな使い方をまとめます。
まず、教科書を見ながら、共通テストレベルの歴史用語(目安は山川一問一答で赤文字になっている言葉)について5W1H+1Rを簡潔に説明できるようにしましょう。
それと同時に、大まかな歴史の流れをbのガイドブックでつかみましょう。
この流れが一つのテーマについて終わったら、関連する問題を過去問から引っ張り出し、下の「過去問をどのように使うか」で説明しているやり方で解いてみましょう。
そして解答例、解説と照らし合わせてどの知識が抜けていたか、解答の構成や文末表現などに問題はなかったかを確認します。そして間違えた箇所は演習ノートに間違いの内容を具体的に残しておきましょう。
解答の書き方で不安な点がある場合や、頻出テーマについての理解を深めたいときには、東大日本史問題演習を使って実践的な練習をしましょう。
「元祖 日本史の年代暗記法」や「山川一問一答日本史」に移動時間などのすきま時間で知識を蓄えるために使いましょう。
東大日本史の過去問の使い方
試験時間をうまく使う練習をしよう!
地歴は2科目で150分が与えられており、150分の中であれば科目間の行き来も自由になっています。上にも書いたとおり、日本史は世界史、地理に比べると記述量が少ないため、150分の半分である75分よりも短い時間で解いていく必要があります。
僕自身は受験生のとき、本番では大問1問あたり15分〜18分で解き終わるように心がけていました。練習のときには、自分の頭にある知識を答案にする過程が大事なので、1問あたり30分ほど時間をとって、20分は解答の構成を考える時間、10分は解答を書く時間としていました。
過去問にはできるだけ早めに手を付けよう
東大日本史は頻出テーマが繰り返し出題されるので、過去問に触れ、自分の理解している分野をできるだけ増やすことが大事です。そのため過去問を解き始めるタイミングは早ければ早いほどいいです。
しかし、知識がインプットされていないのに問題に取り組んでも得られるものは少ないので、学校などで新しい分野を勉強するたびに対応する分野の過去問にチャレンジすることをおすすめします。
過去問はどうやって使えばいいの??
過去問は時期に応じて使い方を変えていきましょう。
一見難しそうに見える問題もありますが、全て教科書レベルの知識で解ける問題です。初めて解くときはいきなり答えを見ようとせず、まずは自分の頭で解答の構成を考えましょう。
このときダラダラと考えてしまうと時間のムダになってしまうので、初めは大問1問あたり30分〜40分ほどの時間を設定して、その時間の中で集中的に考えるようにしましょう。
解き直しをするときは時間と内容確認を徹底しよう!
一度解いた問題を解き直す時に気をつけてほしいのは、「1回目よりも制限時間を縮めて解くこと」と、「1回目に書けなかった内容がきちんと書けるようになっているかを確かめること」です。2回目でも書けなかった分野は理解が足りない分野であるので、間違いの内容を細かく書き残し、早急に対策しましょう。
試験直前は苦手な分野を見直そう!
今まで解いてきた内容を見直し、苦手意識があるテーマを優先的に見直しましょう。時間がない場合は、解答を全て書きあげずに構成についてのメモを作るだけでもOKです。
過去問は最低でも10年分は解こう!
最低でも入試までに10年分は解き、似たようなテーマが出た時に対応できるように知識を定着させておきましょう。
3の「東大日本史の傾向」でも述べたように、東大日本史では以前に出題されたテーマが形を変えて別の年度で出題されることがありますので、余裕がある場合には、新しい年度から出来る限り解いていくことをおすすめします。
おわりに
東大日本史は、一見すると特殊でとっつきにくいように思われますが、正しい勉強法と、正しい解答の作り方を身につければ得点が見込める科目です。この科目を得点源とし、合格を近づけましょう!
*この記事は東大対策特集の記事です*
東大対策特集では東大の対策法を科目ごと紹介しています。