現役生が詳しく語る農工大の化学で合格点を取るための勉強法と教材
こんにちは、東京農工大学農学部の直生です。今回は東京農工大学の二次試験の化学に関して、難易度や特徴、頻出の分野、実際に使用した有名な教材の内容をどこまで学べば対応できるかについて、がっつり研究した現役時代のノウハウをご紹介していきます。
僕自身農工大は全ての科目で6年分の過去問を解いて対策しました。具体的な得点率はお見せできないところもありますが、2017年を除いて6年分を2周しました。ちなみに赤色は40%以下の得点率、青は65%以上の得点率だった回です。
◇目次◇
1.農工大の化学入試情報 | 一般選抜前期試験の配点 | 農工大の化学は応用的な内容が多い | 高校範囲外の問題も出題される | 理科科目の配点が高い |
2.化学の対策と勉強法 | 基礎知識の重要性 | 無機化学・有機化学の暗記 | セミナー化学や重要問題集の活用 | 参考書の選び方と使い方 |
3.具体的な問題形式と分野別対策 | 用語問題は満点を目指す | 計算問題は応用レベル | 記述問題は本質を理解 | 構造決定問題は有機化学の知識が必要 |
東京農工大学の入試情報
選抜方法
農工大の入試方式は、大きく分けて4つに分けられています。
① 一般選抜(前期・後期)
② ゼミナール入試
③ sail入試
④ 学校推薦型入試
今回の記事で触れるのは一般選抜の前期に関する内容です。今回の記事でご紹介する化学については東京農工大学の工学部・農学部を目指す方どちらも対象なので安心してください。
東京農工大学の配点
農工大は前期後期ともに共通テストの受験が求められ、共通テストの得点が合否に大きく影響する入試でもあります(特に農学部)。
農学部では配点 900点/1600点 が共通テスト、工学部では900点/1800点で共通テストの点数が反映されます。そのため、共通テストに重きを置いた勉強と二次試験対策の両立が肝になります。
農工大の二次試験では理科科目のウエイトが大きく集中的な対策が必要となります。農学部を例に挙げると、理科300点、数学200点、英語200点の配分となっています。この中でも英語は他の大学と比べて優しいレベルなので受験者平均点は7割前後となっています。共通テスト次第ではあるものの二次試験は6割から7割の間が合格ラインといえるでしょう。
農工大の二次試験、各教科の特徴は?
農工大の数学の特徴
農工大が出すデータで毎年5割にも満たない平均点となっていることがありますが、これは私が農工大生となった感じ身の回りに数学が得意な人が少ないためだと思っています。そのため、数学が得意な人は7割は取ってほしいテストです。もし苦手であっても6割あたりの点数は取っておいてほしいと思います。農工大の数学は基礎ができていれば十分に6割は取れる問題です。
2022年の農工大の数学大問2。2021年から2年連続で数列が出題されています。
農工大の英語の特徴
英語は比較的やさしいのが特徴なので、7割は取っておきたい試験だと思います。単語帳もそこまでレベルの高いものは必要ではなく、必要になるのは速読力と推測力です。また、会話問題が出題されますが、この会話問題は落としてはいけません。必ず完答もしくは高得点を狙いましょう。英作文もありますが、英作文に特化した練習はそんなに必要ありません。
2021年の農工大の英語大問3では50-60文字の英作文が求められます。
農工大の化学の特徴
化学は農工大の二次試験の中では一番難度が高くて得点しづらい科目だと思います。というのも、高校化学では取り扱われない内容が出題されたりと応用的な分野もかなり求められるからです。とはいえ、文章を読めば得点できるような問題があったするし、過去問で雰囲気をつかんでおけばそこまで心配する必要はありません。
農工大の生物の特徴
農工大の生物は7割ほど得点しておきたい科目です。記述がほとんどの点数を占めるので記述中心の勉強が必要とされます。記述とはいっても基礎的な分野に関する記述が多く、共通テストの学習の延長線上にあるイメージであるため、知識や理解に大きく差があるわけではなく、ここまでの勉強から加えて記述力を養うのみです。
2022年の生物大問4。農工大の生物では30文字程度以上の記述が7~8問出題されます。中には120字の長文記述も。
これらの科目をすべて合わせて6-7割あたりを狙っていく戦略を立てていきましょう。個人によって教科の得意不得意はあると思うので、自分のイメージに合わせて計画するのも大切です。
農工大の化学、分野別の対策はどうすればいい?
農工大の化学は国公立標準レベルといえるとは思いますが、高校範囲外の分野が出題される傾向があります。そのため、農工大には農工大の対策が必要だといえるでしょう。
問題構成は、用語問題、計算問題、記述問題、構造決定問題などが毎年同様の形式で出題されています。点数配分は農工大のほうから公式に出ている前年度の過去問や入試情報がのっている冊子を見ていただければ確認することが出来ます。
農工大の化学、問題形式別の特徴
用語問題
用語問題は基本的なところしか聞かれないため必ず満点を取りたい部分となります。形式としては空欄補充が多く出題され、選択式の年も見られました。セミナー化学やDoシリーズ等を反復練習して落とさないように頑張りましょう。
計算問題
計算問題は応用レベルのものが多くある程度レベルの高い問題集を解けるようになっておく必要があります。本番ではかなり大きめの解答用紙に途中式を記述する空欄があるので、見やすくわかりやすい回答を心掛けるといいでしょう。計算問題はかなり高い配点があるので、わからなくてもとりあえず書くというのも大切なことなのかもしれません。諦めない!!ということです!
記述問題
記述問題は、頻出問題として扱われるような問題も出題されますが、それよりも対策が必要なのは事の本質を理解しているか問う問題です。農工大でよくあるパターンはこんな感じです。
ある事象が書かれており、それと高校範囲の知識を融合させて回答を求めるものがあります。高校範囲の知識は自ら取り出せるくらいまで仕上げておくとともに、その場で考えて記述する力も要されます。
そのため、自己流で進めていくと限界を迎える可能性があるので、記述問題は必ず化学に詳しい人に採点してもらうようにしましょう。その際はしっかりとアドバイスをもらうようにしてくださいね。
構造決定問題
構造決定は意外と舐められがちなんですがかなり複雑なものが出題されています。有機化学の反応などを細かく覚えていないと回答できないものがあったりと、ここに関しても個別の対策が必要になります。そのため、簡単な構造決定問題から始めて徐々に難しい構造決定問題に取り組んでいくとよいでしょう。鎌田の有機化学をどれほどやりこんだかが大きく出る問題です。しっかりこなしましょう。
農工大の化学、頻出の分野
農工大の化学では以下の分野が比較的出題されやすいです。もしどこを強化するか迷ったらまずこれらの分野の定着を確認してくださいね。
◯ 溶解度
◯ 電気分解
◯ 工業的製法
◯ 構造決定
農工大の化学で合格点を取るための勉強法と教材
化学の対策で使用した参考書
私が用いた参考書は、主にこの4冊です。
福間の無機化学
鎌田の有機化学
セミナー化学
重要問題集
それぞれの教材をどう活用すれば、共通テストや農工大で合格点を取れるようになっていくのかを詳しくご紹介していきます。
Doシリーズ(福間の無機化学・鎌田の有機化学)
この参考書の写真はイクスタの事務所で撮影したものです
福間の無機、鎌田の有機は化学の基本的なところを固めるのに用いました。導入の部分ですね。とはいえ導入としてはすごくハードな参考書でもあるのがDoシリーズの特徴です。
無機・有機は暗記要素が強いので「つっかかっても覚えればいい!」と思って理解よりも暗記優先でこれらの参考書を仕上げました。理解に関しては後からでも入れることもできるので、個人的には先に暗記を終わらせてから理解のほうに移るのが効率的だと思っています。
こうして仕上げたこれらの参考書は、最後までともに戦ってくれる力強い仲間となりました。復習もしやすくなります。
また、福間の無機化学を完璧に仕上げればほとんど抜けはなくなって、用語問題などではミスすることがなくなります。そして、鎌田の有機化学は構造決定問題や計算問題など入試で出やすいポイントが参考書各所に散りばめられているので、過去問で同様の問題に出くわすことが多くて、ここ「鎌田でやったところや!」ってなると思います笑
セミナー化学の発展問題と重要問題集
この参考書の写真はイクスタの事務所で撮影したものです
セミナーの基本問題は完璧にできている前提でお話しします。セミナーの基本問題までをほぼ完璧にするのは必要不可欠なので、まずここ固まっていない受験生が最優先で取り組みましょう。
セミナーの発展問題と重要問題集は同じ立ち位置と考えてもらって問題ありません。若干セミナー化学のほうが重要問題集のA問題よりも複雑な気がします。
答えを覚えるだけでなくちゃんと理解するまで
これらの進め方としては、理解が先行するように勧めていきます。というのも何周もしてくると答えを覚えてきてしまって効果が薄くなってくるからです。そのためにも併用して活用していくことが理解を深めるのには最適です。また、受験生がまず悩むであろう、「重要問題集どこまで進める問題」です。
重要問題集のA問題すべてとBの印はマスターして!
すべてやっておくことに越したことはありませんが、農工大の化学に太刀打ち出来て効率的にこなすのであれば重要問題のA問題すべてとBの印のついている部分はやっておくといいです。実際に過去問と照らし合わせて頻出分野をマークしてみるのもいいかもしれません。
それで、この2つの問題集を用いて何度も繰り返しやっておくことで、対応できる問題のレパートリーを増やしていきましょう!!
基礎から着実に積み上げて成長しよう!
農工大を目指していて、これから過去問をやっていこうと思っている受験生や、やってみたけど歯が立たなかった方などいらっしゃると思います。ですが、諦めずに基本を積み上げていってできる応用問題の種類を多くしていき、化学に磨きをかけていけば必ず合格点である6割ほどは取れるようになっていくと思います。
必ず自分なりの道があると思いますので、是非見つけてもらって成長していきましょう!!
今回の記事は「農工大の化学」についてご紹介しましたが、化学そのものをどうやって上げていくかについてはこちらの記事により詳しく書いています。
> 【化学】高3の5月にほぼゼロから共通テスト85%、農工大でも65%取れるようになった化学の勉強法と参考書 - イクスタ
秋まで結果が出なかったものの、最後は農工大でも得点源にできた生物についての勉強法はこちらの記事でご説明しています!参考にしてください!
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