やりたいこともないし大学に入ってから専門を決めたい!そんなあなたにおすすめの難関教養系学部の14学部
大学受験を始めたものの、大学で何を学ぶことを目標に勉強を頑張ればいいか、いまいちピンと来ないなーと思ったことはありませんか?
実際、具体的な学びたい内容を決めている受験生であっても、その選択が十分な情報に基づいているとは限りません。これまで大学の学びに直接触れる機会がなかったのに、どの学部を選ぶべきかを決めるのは難しいですよね。
間違った学部を選び、興味のない内容を4年間学ぶのはつまらないですし、もったいないです。そこでおすすめなのが教養系・リベラルアーツ系の学部です。
教養系学部、大学とは?
大学に一度入ってしまうと学ぶことは変えられない
大学では、選んだ学部や学科によって必要な単位や卒論のテーマが決まります。そのため、授業や自習の時間のほとんどは、入学時に選んだ専門の勉強に費やさなければなりません。
例えば、経済学部に入学し、自由選択の授業で歴史学の魅力に気づいたとしても、後から専攻を変更するのは難しいです。
※自由選択科目...専門分野以外に、幅広い学問分野の単位を取る必要がある
リベラルアーツなら興味のあることをじっくり決めることができる
リベラルアーツ系の学部や大学では、4年間の前半でさまざまな科目を学び、後半に専門的な分野を選びます。この教養系の学部では、入学時にすぐに専門を決める必要はありません。この記事でご紹介する教養系の学部・専攻は、基礎科目だけでなく、総合大学のような多岐にわたる専門科目もカバーしている学部・専攻をご紹介します。
理系の専門がある学部は少ないかもしれませんが、理系の科目がない学部もこのカテゴリに含めることとします。
その他の教養系学部の特長
入学した後にさまざまな勉強をしてから専攻を決められる以外にも、教養系学部のそのほかの特徴として、
◯ 生徒に対して先生の数が多く、少人数制の授業が多め
◯ 教育熱心で、課題などが多い
◯ 偏差値が高い、もしくは入試が特殊で周りが優秀
◯ 国際と言う名前が入っていることが多く、英語教育に力を入れている
◯ 私立だと学費が150万ほどでとても高い。国公立大もほかの学部より高いところがある。
という場合が多いです。もちろん学校によって当てはまらないこともあります。
教養学部の種類と例、分野横断型との見分け方
実は、教養学部と名付けられている学部でも、内容はさまざまです。
一部の学部や大学では、入学時に特定の専門を選ばず、総合大学のように多岐にわたる分野を学べます。そして、それぞれの専攻分野には専門の教員がおり多くの授業が提供されているため、深く学べる環境が整っています。これはアメリカのリベラルアーツの教育に近いものです。
しかし、規模の小さい教養学部だと教員が揃っておらず、分野によっては学べなかったり授業が少ししかなく深くは学べないところもあります。
一方で、専攻を深く決めずに、多様な学問に触れるだけになってしまう学部も存在します。教養やリベラルアーツという名前がついていながらもアメリカのリベラルアーツのように幅広い分野から学べる形式ではなく、特定のテーマに基づいて異なる分野を横断的に学ぶ学部などもあります。
学部名だけでは判断できない
自分の興味によって人文科学、社会科学、自然科学の中から自由に選べるのか、実は学問分野が偏っているのかは学部の名前からだけでは判断できないので、大学の公式サイトでカリキュラムやシラバス、教員の専門分野を確認してください。
今回はそんな教養系の学部を3種類に分けて紹介します。
◯ アメリカのリベラルアーツのような教養学部(大規模)
◯ 中規模、小規模の教養学部
◯ 中心となるテーマがあり、かついくつかの分野横断型の学部(従来使われてきたアメリカ型のリベラルアーツとは少し異なる)
また、教育機会の観点で、学生数、学生数と教員数の比率を、公式HPなどから調査できる限りお伝えしていきます。
アメリカのリベラルアーツのような教養学部
東京大学
東京大学では1年生は全員が教養学部に入学します。2年間で様々な科目を学んだあとに3年生から学部を決めます。入学時に文系は文I-III、理系であれば理I-IIIの6つの類に分かれてその時点で大まかに進路が決まっているので、他の類の学部に行く場合には定員が少ない事があり、希望の学部に入れるとは限りません。
名実ともに日本最高学府です。学生数が1万人を超える大規模なキャンパスで、多くの専門家としての教員が在籍しています。東大としての名声に恥じない、幅広い学問が学べる環境が整っています。
他の教養系学部が実践や国際性を重視する傾向がある中、東大は純粋な学問を中心に教育を行っています。
前期課程と呼ばれる最初の2 年間は、教養学部に所属し、教養教育(リベラル・アーツ教育)を受けます。この教養教育では、広範で深い教養と豊かな人間性を培いながら、その後の様々な専門分野で先進的に取り組むために必要とされる、土台となる十全な知識と、既存の知識を批判的に吟味し独自の観点を創造しうる学術的な方法を身につけることを通して、自分の進むべき専門分野が何であるのかを見極める力を養います。
国際基督教大学 ICU
ICUでは最初の2年間はさまざまな分野を学び、3年目から専攻を選択します。学生数は3000人と、大学全体としては小規模ですが、全学が教養学部で構成されているため、教養学部としては規模が非常に大きいです。そのため学べる分野も多岐にわたります。工学の専攻は提供されていないので注意が必要です。
1949年の設立ということで、新しい教養系の学部や学校に比べて歴史があります。先生と生徒の比率は1:19で、私立大学としては非常に良好です。1年生のカリキュラムは英語に特化していますが、2年目以降は英語を学ばなくても卒業が可能です。他の教養系学部が実践や国際性を重視する中、ICUは純粋な学問を中心に教育を行っています。
筑波大学総合学域
筑波大学の総合学域はユニークな制度を持っています。学生は最初の1年間を総合学域で過ごし、その後、希望する学部に移行します。驚くことに、医学部も選択の範囲内にあります。ただし、一部の学部への移行は第二の受験とも言える厳しい競争が待っていると言われています。
中規模、小規模な教養学部
早稲田大学国際教養学部 SILS
学生数2500程度。かなり大規模なので、学べる幅も広いです。生命、環境、物質、情報科学、哲学、思想、歴史、経済、ビジネス、政治、平和、人権、国際関係)コミュニケーション表現文化・心身・コミュニティを学べるようです。シラバスを見てみるとそれぞれの分野の授業はそこまで多くないので一つの分野を体系的に学べないかもしれません。
ただそれは早稲田の他の学部の授業を取ることができればある程度補えると思います。教員と生徒の比は1:26.7。国際教養学部の目玉でもある留学必須のシステムに加え、授業はほとんどが英語で行われます。シラバスも英語です。
国際教養大学 AIU
国際教養大学は秋田にある公立大学でグローバルリーダーを養成することが目標の教育機関です。国際関係、ビジネス、国際的な社会問題の3つがテーマで、2年次の秋にその中から一つ選びます。
基礎科目については色々な科目がありますが、2-3年次以降で選択できる専攻科目は主にビジネス、国際関係に絞られます。専攻の選択肢の多さという点では東大、国際基督教大学に大きく劣ると言えるかもしれません。一方でOBや企業、高校の先生からの評価はとても高いようです。
学生数が800人。学校全体が教養系となっているのが強みですが、学生数自体が少ないため実際のところほかの国際教養系の学部と規模はあまり変わりません。先生生徒比が1:14と先生の割合が高く少人数の教育が期待できます。
国際系、ビジネス、国際的な社会問題がテーマの、より実践寄りのカリキュラムが用意されています。早稲田大学の国際教養学部と同じように、新しい教養系学部は教養と言いつつ実践に寄った授業が多いです。アメリカ式のリベラルアーツ系の教養学部かというとちょっと違うような気がします。
また国際教養大学では1年の留学が必須です。公立大学ですが、学費は一般的な私立文系とさほど違いはありません。
千葉大学 国際教養学部
千葉大学国際教養学部も国際教養大学と似ていて基礎科目までは色々な科目があるようです。専門科目は主にグローバルスタディーズ、現代日本学、総合科学(理系)です。学生数は400人ほど。留学が必須となっています。
広島大学 総合科学部 総合科学科
HPを見る限り学部で学べることについての情報が少ないため分かることは多くはありませんが、HPでの説明から推測するとアメリカ式のリベラルアーツに近く、幅広く、専門的に学べるようです。
埼玉大学 教養学部
学生数795人教員数38人。比は20.9。2年から専攻を決めます。
専攻できる科目は国際関係論専攻/国際開発論専攻現代、社会コミュニケーション専攻/地理学文化人類学専攻、哲学歴史専、修課程、哲学専攻/芸術論専攻/歴史学専攻、ヨーロッパ・アメリカ文化専修課程、ヨーロッパ文化専攻/アメリカ研究専攻、日本・アジア文化専修課程日本文化専攻/東アジア文化専攻。
理系はないようですが文系は幅広く充実しています。このグループの中では本格的な教養学部です。国公立のため学費も安く、教養系を目指すには良い選択肢になるでしょう。
立教大学グローバルリベラルアーツプログラム
生徒数92人と小規模です。従来の学部ではなく1つのプログラムとして提供されています。専任教員と生徒の比は出ていませんでしたが、公式サイトのGLAP専任教員のプロフィールに載っている7人が専任教員だとすると1:13.6です。
公式サイトでも少人数教育であることを繰り返しアピールしているので、質の高い教育を受けられるかもしれません。全員に留学が必須のようです。学生数が小規模なので、授業や研究室の数を考えると、幅広くかつ専門的、両方の授業を受けられることに対してあまり期待しない方がいいかもしれません。
法政大学グローバル教養学部 GIS
生徒数394人。専任教員は14人。1:28。全ての授業が英語で行われます。立教大学と同じように規模が小さいので、開講されている授業や講座が自分の興味に合っているかを慎重に調べたほうがいいかもしれません。
このグループの中だと教養学部という面では埼玉大学教養学部が良さそうです。
中心となるテーマがあり、分野横断型の学部
例えば慶應義塾大学の総合政策学部・環境情報学部は社会問題やビジネスなど実践が中心のテーマで、明治大学国際日本学部は日本研究がテーマです。
中心となるテーマに関する分野を勉強するという目的の結果、さまざまな分野を横断している学部です。分野に関係なく幅広く自分で選べるリベラルアーツとは少し趣旨が異なります。
学部ごとの紹介は割愛しますが、中心となるテーマが自分と合っていそうであればぜひ公式HPをのぞいてみてくださいね。
慶應義塾大学 総合政策学部・環境情報学部
この2つの学部は、名前や入試日は異なりますが、ほとんど同じ授業を取ることができます。
明治大学国際日本学部
金沢大学融合学類
新潟大学創生学部
国際基督教大学、国際教養大学、早稲田大学国際教養学部、慶應義塾大学総合政策・環境情報学部を比べる
日本で教養系を学ぶことができる大学として、国際基督教大学、国際教養大学、早稲田大学の国際教養学部、そして慶應義塾大学のSFCは比較されることが多く志望校として候補に入れる人が多いので、今回はこの4つの大学の違いを比較していきます。それぞれの特色と教育方針があるため、自分に合いそうなところを探してみてください。
国際基督教大学と早稲田大学の国際教養学部は、1-2年生で学問の多様性を体験した後、2年の後期や3年生から、さらに深く学ぶ専攻を選ぶことができます。
国際教養大学も1-2年で幅広い分野を学べるという点は似ていいるものの、3年以降で学べる領域は国際分野とビジネス分野など実践的な分野が圧倒的に多く、人文社会学系は少なめと言えるでしょう。
SFCでは現代の解決すべき社会問題が中心に据えられており、現代の問題を解決するためという視点で幅広く学んでいくことができるという特徴があります。
ICUとSILSの比較
国際基督教大学と早稲田国際教養学部を比べてみると、大きな違いは、英語です。
早稲田の国際教養学部では授業内容のほとんど全てが英語です。一方、国際基督教大学は約7割の授業が日本語なので、2年生以降も日本語の授業を主体に学ぶことができます。
さらに、国際基督教大学は専攻の選択システムが整っており、1つの専攻に対してより深く、体系的な学びが可能です。
一方、早稲田の国際教養学部では、幅広い分野を学べるものの、深い専門性という面では用意が少なく深く体系的な学びが難しいという声も一部には存在します。
学生としての視点から、学費や教員との比率、いわゆるS/T比を考慮すると、国際基督教大学と国際教養大学が教員比率が高く、丁寧な指導を受けられる可能性が高くなっています。早稲田や慶應への特別なこだわりがなければ、リベラルアーツを本格的に学びたいという場合には国際基督教大学と国際教養大学がおすすめです。
締めくくりとして、近年、国際基督教大学や国際教養大学の評価は着実に上昇しており、その卒業生の就職活動も良いようなので、ブランドだけでなく、教育内容や将来のキャリアビジョンを考慮に入れて、適切な選択を行うことが大切です。
教養系の中でおすすめは?
私はリベラルアーツの教育を強く推奨します。アメリカのリベラルアーツカレッジのような環境では、専門性を犠牲にすることなく、幅広い学問の選択肢を追求できます。メリットはありますがデメリットがありません。ただし、小規模な教養学部では、専門性を犠牲にすることになります。教養学部を選ぶ時は学生数、教員の数や教員の専門分野をチェックしておきましょう。
大学で学問を一通り学んでから、本当にやりたいことを見つければいい
多くの高校生は、高校まででは専門的な学問に触れる機会が少ない中で、大学受験のタイミングで初めて大学での専攻を選ぶことになります。興味のあるなしを判断するための時間が少ない中で、本当に自分のやりたいことを見つけるのは難しいですよね。
リベラルアーツの教育を受けることで、世の学問を広く本格的に学ぶ機会をできるので、自分が本当にやりたいと興味を持つことができる専攻を見つける可能性が上がります。
今回ご紹介した、アメリカのリベラルアーツ型ではない、学問横断型の学部は必ずしも幅広く学べることができるわけではないので注意してください。既存の学問体系に入らない新しい分野をまとめているという性格もあるため、選択肢の多さの点では結局たとえば経済学部、社会学部を選ぶのとあまり変わりがないと言えます。
横断型の学部は例えば経済学部、社会学部などより実践的な場合が多いので、そうした分野に興味を持てそうであれば良い選択肢になるでしょう。
ぜひ、あなたが教養学部に興味を持ってくれると嬉しいです!