【地理】現役北大生の地理講座 第6回 単元別ポイント解説③ 気候
皆さんこんにちは。現役北大生の高岡伶丞です。本シリーズは、主に共通テスト地理で80点以上を安定して取りたい受験生に向けた全25回のシリーズです。早いもので、単元別ポイント解説も3回目となりましたね。
今回取り上げる単元は「気候」です。丸暗記しようとすると覚え違いやすいうえ、「都市村落」「生活文化」や「地誌」と絡めやすいため出題されやすい単元です。本記事を通じて「気候」分野を味方につけられるようにポイントを押さえましょう!
➀ポイント解説
気候分野は気候の成立理由や原則について学ぶ「気候概論」と各気候について具体的に学ぶ「気候各論」に分けることができます。なお、この2つの分け方は僕が作った造語ですので、答案等に書くのは控えてください(笑)。以下、それぞれについて見てみましょう。
⑴気候概論
気候はその場所で長期にわたって毎年繰り返される平均的な大気の状態をさし、気温,香水,風などの気候要素によって説明され、緯度,高度,地形,海流などの気候因子によって地域差が生じます。
緯度が高ければ高いほど日照時間が短く、受ける太陽エネルギーが少なくなるため、高緯度になるほど平均気温は低下する傾向にあります。
また、赤道付近で暑さによる上昇気流、極付近で寒さによる下降気流が発生するために北緯30度付近で下降気流、北緯60度付近で上昇気流が発生します。上昇気流発生地では降水が多くなり、下降気流発生地では降水が少なくなります。
また、北緯30度付近から赤道までふく東風を貿易風、北緯30度付近から北緯60度までふく西風を偏西風、極付近から北緯60度までふく東風を極東風と言います。こうして緯度は気温、降水量、風にそれぞれ影響します。
このように、複数の気候因子が複数の気候要素に影響を及ぼすことで気候の地域差を生み出しているのです。
⑵気候各論
気候は主にケッヘルの気候区分により、A:熱帯、B:乾燥帯、C:温帯、D:冷帯、E:寒帯の5種類に分けられます。
それぞれさらに熱帯は熱帯雨林気候とサバナ気候とモンスーン気候、乾燥帯が砂漠気候とステップ気候、温帯が地中海性気候と温暖湿潤気候と西岸海洋性気候と温暖冬季少雨気候、冷帯が冷帯湿潤気候と冷帯冬季湿潤気候、寒帯がツンドラ気候と氷雪気候というようにそれぞれ細分化されます。また、高山気候はこれら5つの気候帯と切り離して考えられることもあります。
ここで重要なことは、各気候と結びつく代表的な植生と土壌、そして産業・文化をリンクさせて憶えることです。
入試で出題される土壌は4つだけ
土壌に関しては気候と結びつく成帯土壌、結びつかない間帯土壌に分けられますが、間帯土壌は地中海の石灰岩土壌テラロッサ,ブラジル高原の玄武岩土壌テラローシャ,デカン高原の玄武岩土壌レグール,ハンガリー等の細かい土による土壌レスの4つしか大学受験では出題されませんので、ぜひ憶えておきましょう。
➁学習上の注意点
気候の分野で重要なのは特徴的な情報を押さえておくことです。どうしてその場所はその気候なのか、どういった植生・土壌があり、どんな生活があるのか、特徴的なものは押さえておきましょう。
共通テストに特によく出題されるのは、局所的にその周りと気候区が異なる場所です。
入試で頻出の気候と地域4選
もっとも出題されるのが地中海周辺以外の地中海性気候の地域で、北アメリカ西岸(代表都市ロサンゼルス)、オーストラリアの南部(代表都市バース)、南アフリカ共和国の南西部(代表都市ケープタウン)、チリ中部(代表都市サンディエゴ)があります。
これらの4か所はヨーロッパに気候が近いため植民地支配の拠点となっていた場所であり、現在も人口が多い地区です。それぞれの代表都市は雨温図やハイサーグラフの問題で本当によく出題されますから、確実に憶えておきましょう。
また、はじめにも述べたように、気候は「都市村落」、「生活文化」、「地誌」などの分野と密接な関わりがあります。住みやすい気候の場所には人が多く住み、特にヨーロッパの気候に近い場所はすでに述べたように植民地支配の拠点とされるケースが多く、現在もかなり繁栄しています。
また、それぞれの気候に住む人はその地域での生活を少しでも快適にするために様々な工夫を凝らしてきたので、衣食住などの文化に大きな影響を及ぼします。そういった他の分野への影響をもセットで押さえていくことが重要です。
まとめ
今回は「気候」の分野についてまとめました。気候分野は情報量が多く、最初は混乱するかもしれませんが、丁寧に整理して、一つ一つの情報を的確にリンクさせて、他分野との関連を含めて記憶していきましょう!
次回は「環境問題と自然災害」について学びます。範囲は広くないですが、近年非常に重視されているテーマで、逆に言えば得点源にしやすい分野です。お楽しみに!
ではまた!