2026年の共通テスト地理で高得点を取るための対策法と参考書
2025年の共通テスト地理は新課程への変化に伴って読み取り問題が大きく増え、2024年まで地理の勉強とは全く違った対策が必要になりました。2026年以降の共通テスト地理でも2025年と同様の傾向になると予想されるので、これまで考えられていた共通テスト対策とは違った考え方と教材が求められます。
新課程に変わった2025年の地理では2024年までの共通テストと比べてどのような違いがあるのかを研究した上で、2026年以降の共通テストで効率的に高得点を取るためには①どの参考書を②どのようなことに注意して勉強すると良いのか提案します。
新課程2025年以降の共通テスト地理ではどんな問題が出るのか
まとめ
結論から始めます。2025年の共通テストの地理では、2024年までと比べてデータの読み取り問題が大きく増えて、知識問題が大きく減りました。これが最も大きな特徴です。
2024年までの共通テストは配点のうち、70~80%はA.知識問題、10~20%はB.グラフや図を読み取る問題、5~10%はD.初見分野の難問題でした。
これに比べて2025年の共通テスト地理では配点のうち、30%程度がA.知識問題、20%はB.グラフや図を読みとる問題、40%はC.知識と読み取りの複合問題、10%はD.初見分野の難問題となりました。
問題タイプごとの特徴をまとめます。
A.知識問題:特定の知識がないと解けない問題
B.グラフや図を読みとる問題:知識がなくてもグラフやデータを元に正解に近づける問題
C.知識と読み取りの複合問題:知識が必要かつ、グラフやデータを元に推測する問題
D.初見分野の難問題:教科書や参考書には載っていない分野からの出題。高度な知識や推測能力が求められる
2025年の地理から新しくなった傾向は?
2024年までと比べて、2025年の共通テストではそれぞれの問題タイプごとの配点の割合は大きく変わり、平均点は若干下がりました。
これは何を意味するのでしょうか。
2025年の共通テストの解いた印象は「一気に難しくなった」と感じるはずです。
2024年の平均点は65.74点で2025年の地理(地理総合、地理探求)の平均点は57.48点でした。平均点が約8点下がったため見かけ上は「少し難しくなったのかな」と感じる程度に思えますが、実際に解いてみると平均点の下がり具合以上に難化したように感じます。
配点のうち40%出題される、C.知識と読み取りの複合問題、このタイプの問題が難しく、高得点を取りにくくなりました。
一方で、B.グラフや図を読みとる問題、知識が無くても解けるこのタイプの配点が増えたことにより、勉強していなくても得点できる問題は増えました。
この結果から予想できるのは「点数が低い受験者が減り、高得点を取れる受験者も減った」。
つまり、「勉強していなくてもある程度点数は取れるが、勉強して知識があってもそれだけでは高得点は難しい」
このような特徴となりました。
2024年までの共通テスト地理は知識があれば高得点を期待でき、知識がなければ点を取りにくい試験でしたが、2025年からの共通テスト地理は知識があるだけでは高得点は望めず、知識がなくてもそこそこ点数が取れる試験になりました。
では、どのような対策をすればいいのか
2025年以降の共通テスト地理で高得点を取るための対策の難易度は上がりました。
2024年までは時間をかけて大量に知識をインプットすれば高得点を期待できる知識勝負の側面がありましたが、2025年からは知識があっても高得点は期待できず、高得点を取るためにはハイレベルな推測や思考力が必要になりました。
この力が必要な問題とは40%程度の配点があるC.知識と読み取りの複合問題です。
初見のデータやグラフから読み取れること理解し、それを元に知識と組み合わせて、結論を導き出す高度な力が必要な問題です。そのグラフから何を読み取れるのかを考える難易度が高く考えるため時間もかかり、これまでの共通テスト地理よりも制限時間が厳しく感じる試験でもあります。
高得点を取るための方針
2025年以降の共通テスト地理で高得点を取るために対策の方針は、知識を詰め込む勉強時間を減らし、グラフやデータと文章を見比べて思考する勉強時間を増やすことです。
問題タイプごとの対策法
問題タイプごとにどのような対策をすれば得点できるのかを整理します。
A.知識問題:特定の知識がないと解けない問題
→ 教科書や250ページ程度の参考書の知識を一通りインプットしていること
B.グラフや図を読みとる問題:知識がなくてもグラフやデータを元に正解に近づける問題
→ 平均以上の観察力や思考力があれば特に対策は必要ない
C.知識と読み取りの複合問題:知識が必要かつ、グラフやデータを元に推測する問題
→ グラフやデータから分かることを思考する機会を増やす
D.初見分野の難問題:教科書や参考書には載っていない分野からの出題。大学受験範囲を超えた知識や高度な推測能力が求められる
→ 普段のニュースや読書などの情報収集
地理の勉強する際の難しさ
地理は何を勉強すればいいのでしょうか。用語を暗記するのか、計算する必要があるのか、文章を読めばいいのか。
地理を効率的に勉強するためのポイントがあります。分野ごとに頭の使い方が異なります。「とにかく知識を入れる」とは違った勉強が必要です。
地理は大きく「系統地理」と「地誌」に分かれていますが、これをさらに分かりやすく整理します。
地理は3つの視点に分けることができます。
1つ目「地形・気候」
2つ目「農業・産業」
3つ目「人間生活との関わり」
1つ目「地形・気候」は知識がメインです。日本の各地域や世界の各地域・各都市の地形の特徴や気候の特徴を知識としてインプットします。時代には左右されない固定の知識です。地域名や気候名など用語について幅広く多くの知識が必要になります。単純知識と言ってもいいでしょう。
2つ目「農業・産業」は、1つ目の「地形・気候」を元に、それぞれの地域で人間社会がどのような発展をしているのかについて学ぶ分野です。農業や産業に関するデータが頻出です。多くのデータをインプットしたいです。単純知識と数字に関する知識と言っていいでしょう。
3つ目「人間生活との関わり」は複雑な分野です。「地形・気候」、「農業・産業」が、そこに暮らす人間生活にどのような影響を与えているのか因果関係を学ぶ分野です。数字やデータを元に、人間活動を詳しく分析する分野です。
共通テストでは、3つ目「人間生活との関わり」について深く分析する機会を作りたいという強い意図を感じます。
特に、数字と言葉を元に物事の本質を汲み取れる能力を測りたいという意図が読み取れます。
教科書で該当する分野について。1つ目「地形・気候」は系統地理の序盤と地誌分野がこれにあたります。2つ目「農業・産業」は系統地理の中盤、3つ目「人間生活との関わり」は系統地理の後半部分にあたります。
なぜ、3つに整理したかというと、市販の参考書・教科書・資料集によって書いてあることがバラバラで何を基準に選べばいいのかが分かりにくくなっているからです。
地理を勉強する上では、1つ目から3つ目までバランスよく勉強できるように意識します。共通テストで高得点を目指すためには、現状では1つの教材だけでは完結できませんので、お手持ちの教材に加えて幾つかの教材を組み合わせる必要があります。
どの参考書を使えばいいのか。おすすめの参考書と使う順番
ここまで、2026年以降の出題傾向と対策すべき内容を整理してきました。最後にどの教材を選ぶべきかを提案します。
教材選びの際に意識すべきポイント
・教科書レベル程度で良いので十分な知識が掲載されていること。
・データやグラフが十分に載っていること。
2024年以前と比べての注意点
・知識が非常に細かい教材は必要ない
・データやグラフとその解説が多いものを選ぶ
2024年までは大量の知識があれば高得点が安定する試験でしたが、2025年以降は知識よりも優先すべきはデータやグラフとなります。
A.知識問題:特定の知識がないと解けない問題
B.グラフや図を読みとる問題:知識がなくてもグラフやデータを元に正解に近づける問題
C.知識と読み取りの複合問題:知識が必要かつ、グラフやデータを元に推測する問題
D.初見分野の難問題:教科書や参考書には載っていない分野からの出題。高度な知識や推測能力が求められる
現状では、上記の4要素を全て満たす教材は存在しないため、いくつかの教材を組み合わせることになります。
おすすめの3冊
地理を共通テストのみで使用する場合におすすめの3冊を選ぶとしたら、資料集・教科書・集中講義(旺文社)となります。
資料集
新詳地理資料COMPLETE(帝国書院)
役割は幅広い用語知識が掲載されており、データやグラフが豊富に掲載されていることです。一方で仕組みやメカニズムの説明文章は少ないため、その部分は教科書で補完します。
教科書
学校で配布されている教科書。地図の読み方など基本の部分から、気候の特徴や産業ごとの特徴まで文章で説明されていることです。一方で知識量が少ないのと、何を覚えるべきかが明確になっていないのが弱点です。
集中講義(旺文社)
これまでの共通テストの出題傾向を踏まえた上で分野ごとの頻出知識が整理されている。付属のデータ集は2025年以降の共通テスト対策にとても有効。一方で仕組みや図や地図は少なめ。
資料集・教科書・集中講義(旺文社)、それぞれ特徴や役割が異なるため、目的に合わせて使い分けます。1冊で完結している教材はないのが要注意です。
他の有名な参考書
共通テスト地理の参考書として以下のようなものも人気です。
地理総合、地理探究の点数が面白いほどとれる本(KADOKAWA)
瀬川聡の 大学入学共通テスト 地理B[系統地理編]超重要問題の解き方(KADOKAWA)
村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編(Gakken)
これらの参考書はボリュームが非常に大きく、多くの文章と用語が掲載されているので、地理の知識を網羅する辞書的な使い方としても有効です。
一方で2025年以上の共通テストは知識問題が減りグラフの読み取り問題が増えているので、まずは資料集に掲載されているデータやグラフの読み取りに慣れることの優先順位が上がっています。
国立大学の二次試験で必要な場合や、時間に余裕がある場合にはこれらのボリュームが大きい参考書をおすすめします。
11月以降の共通テスト実戦問題集でグラフの読み取り問題に慣れる
毎年秋以降になると、各出版社から前年の共通テストの出題内容を踏まえた実戦問題集が発売されます。2025年の共通テストから多く出題されるようになったC.知識と読み取りの複合問題は実戦問題集で5,6回分以上演習を重ねて数字の読み取り方を理解してから本番を迎えることをおすすめします。
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