現役東工大生に聞いた!東工大の化学を対策する上で知っておきたい勉強法や参考書
こんにちは!イクスタ編集部です。
今回は東工大の化学で合格点を取るための対策についてご紹介していきます!
今回紹介していく対策法は実際に東工大に合格した現役東工大生に聞いた対策法なので、東工大を目指す受験生はぜひ参考にしてくださいね!
◇目次◇
1.東工大の化学入試情報 | 共通テストは5教科7科目で950点満点中600点以上が必要 | 2次試験の配点は、数学300点、英語150点、物理150点、化学150点 | 2次試験は2日間で実施され、合格最低点は450点前後 | |
2.東工大化学の勉強法 | 正確な知識の習得が重要 | 計算問題に対応するための基礎力を築く | 問題集を解きながら疑問点を洗い出し、徹底的に調べる | |
3.おすすめの参考書と過去問の使い方 | 『化学の新研究』を常に参照 | 『化学重要問題集』や『化学標準問題精講』を活用 | 過去問演習で実戦力を養う |
大学の入試情報
東工大には4つの入試方式があります。
前期日程
後期日程 (第7類)
推薦入試 (第1類)
AO入試 (第2~7類)
今回は、最も一般的な(1)の前期日程についてご紹介していきます。また、この入試情報は特筆していなければ平成29年度入学試験の予定と平成28年度入試の結果に基づいています。
東工大入試の配点について
前期日程では、共通テストを他の国公立大と同じく5教科7科目受験する必要があります。
ただ、東工大の合格の仕組みが他の国公立大と違うのは、共通テストの5教科7科目で950点中600点を取れなければ不合格ですが、600点を超えたらあとは共通テストの点数については不問で、合否は2次試験の点数のみで決まります。
950点満点ということは“圧縮”なしであり、理論上は2次試験でも使う4つの科目、英語(筆記)、数学IAIIB、物理、化学が全て満点なら600点に届く計算になります。
東工大は2次試験がかなり難しいというのもあり、合格のためには共通テストよりもむしろ2次試験に重きを置いて勉強することが大事になります。
2次試験は通例2日間かけて行われ、1日目は数学(180分!)と英語(90分)、2日目は物理(120分)と化学(120分)という別れ方になっています。
1日あたりの科目こそ少ないですが、理数科目の時間がかなり長く、集中力が必要となります。とくに数学はおそらくAO推薦入試を除き日本最長の試験時間で、この時間で5~6題をじっくり考えることになります。
配点や問題は類によって変わりません。数学が300点、ほかの英語・物理・化学が150点ずつです。また、合格最低点は例年400点前後です。これをもとに各教科の目標点数を考えていきましょう。
今回はとりあえず、合格最低点はおよそ450点と考えましょう。最近3年ほどは、どの類も合格最低点が450点未満です。もっとも、実際は450点はかなり高い点数だとも思います。
各科目で取っておきたい点数
この配点からわかるように、まずとにかく数学対策が大事になります。詳しい問題傾向はあとでご説明しますが、数学では7割を確保しておくことができればと安心感を持って他の科目の対策をすることができます。
数学で7割の点数を取れれば合格最低点である450点に届かせるためには3教科であと240点を分ければよいのですから。
東工大受験では数学が苦手なのは致命的で、せめて5割5分(165点)、内訳としては5問中2問完答+かなり部分点 は欲しいところです。
英語に関しては、東工大受験生には英語が苦手な人も多いので、2次試験の150点中100点ぐらいを安定して得点できるとかなりアドバンテージになります。
英語が本当に苦手でもが数学と理科の力だけで入学するという例も私の周りでたまに聞きますが、大学入学後に英語の外部試験の受験が義務付けられていたりするので、受験勉強の段階から英語をやっておいて損はありません。
物理は時間の長さもあり、かなり問題が重厚ですが、実は難問奇問の例はあまりないので、地道に盤石な基礎を築いていれば100点ぐらいならすぐ取れるようになります。落ち着いて、集中して考えることが肝要です。
化学は、昔は難問が多く鬼畜な科目とかレジェンドとか言われていましたが、最近はかなり易化が進んでおり、物理と同様100点ぐらいなら意外とたやすく取れます。むしろ化学が苦手でなければ稼ぎどころとまで言われています。
というわけで、例えばプラン例として合計で450点を目指し、数学で210+英語・物理・化学で80ずつや、数学で170+英語で80+物理で110+化学で90 などの計画を立てることになります。
もちろんこれは一例なので、ご自分の得意不得意に合わせて一度立ててみてください。実際、450点はかなり高い目標ですが、勉強するときは少しぐらいハードルをあげましょう。
さて、以下では本題である東工大英語の傾向と対策について解説します。それに伴い勉強の方針や参考書を紹介します。
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東工大化学の難易度
基礎力がないと解けない問題ばかり
東工大の化学は、昔はすべての一般入試の中でもとくに難易度の高い問題が揃っていましたが、最近3年はかなり難易度が下がってきています。とはいっても、2次試験としてのクオリティの高さは保ちつづけており、着実に盤石な基礎を築かないと太刀打ちできないのは確かです。
試験時間が長い分、難しい問題が出題される
試験時間が物理と別れておりかつ120分もあるというのが特徴のひとつで、その分面倒な計算の多い問題や悩ませる正誤問題が多数出てきます。最終的には確実な知識と実力をつけた上で、このような計算や正誤問題への対応など、独特な問題形式への対策を身につけておく必要があります。
東工大化学の傾向
問題自体は簡潔
問題の形は非常に独特で、旧帝大に特徴的な長い文章とともに出題されるような問題は少なく、計算問題は特に問題文が簡潔になっているものが多いです。つまり答えに至る道筋をほぼ自分で考えなければならないということであり、例えば平衡定数の定義をただ漫然と覚えているとか、そういうただの暗記知識は簡単に跳ね返されてしまいます。なお、物理が必須であるからか、物理を履修している前提の問題も出題されます。
正誤問題も実際に計算しなければ解けない問題が多い
正誤問題も「正しいものを/正しくないものを ひとつまたはふたつ選べ」とあり、解答欄は2つあるが正解は1つしか書かないということもあります。
間違った選択肢を選ぶと減点されるという噂もあり(模試はそのように作られています)、すべての選択肢を慎重に吟味しなければならず消去法も使いにくいです。
その選択肢も、非常に複雑な現象が書かれていたり、実際に数値を計算しなければならなかったりすることも多く、計算問題と同じくらいかそれ以上に時間がかかります。
このような問題に対応するには、一に正確かつ詳細な知識、二に素早く間違えない計算力が要求されます。
なお解答用紙も独特で、数値問題は答えしか書かないことが多く、途中の計算が評価されることはありません。
東工大化学の勉強法
正確な知識を身に着けよう
まず、正確な知識を身につけることが肝要です。それも教科書に大きく書いてあることをただ読み反応を覚えるだけでなく、考え、疑問点を洗い出し徹底的に細かいところまで調べ尽くすということが必要になります。
東工大の入試問題で知識問題はそのような場所から出題されます。例えばガラスをフッ化水素酸で溶かすのは酸化還元反応でしょうか。
テクニックではなく基礎が大切
計算問題についても、物理のように公式を組み合わせて自分で解答を導く必要があったり、高校では習わない現象を(必要な数値や設定はもちろん全て与えられて)解いたりする必要があります。例えば希ガスを含んだフラーレンが一部含まれるフラーレンの結晶とか、水に気体が解けたり反応したりしたあとの圧力を誘導なしですべて計算するとか。
結局、小手先のテクニックなんかではなく盤石な基礎から、常に問題演習をしながら考えて全て身につけるということになります。ということでその助けになる参考書を紹介します。
東工大化学対策におすすめの参考書
卜部 吉庸『化学の新研究』 三省堂
まずこれを常に座右に置いて逐次調べましょう。問題集を解きながら、教科書と併用しつつ、この参考書で正確な知識体系を身につけるのです。
教科書と併用するのは、この本があまりに詳細に入り組んで記述されているため、教科書もこれも全て読み通すのはさすがに時間がないからです。
疑問をもったらすぐ参照する形で良いと思います。もちろん化学が大好きならば“息抜き”に読めるでしょうが(私もそうでした)。
学校指定レベルの問題集をやっているときから過去問演習のあとまで、あらゆる場面で引きまくりましょう。基礎がついていないときは教科書や学校指定参考書を多めにし、知識がそこそこついて演習が増えてきたら『新研究』を多めにする感じです。
化学の新研究についてもっと詳しい特徴や難易度、使い方などを知りたい受験生は以下の記事をチェック!
『化学重要問題集』 数研出版編集部
鎌田 真彰、橋爪 健作『化学標準問題精講』 旺文社
学校指定レベル、『セミナー』や『リードα』『アクセス』などを1つ終わらせた次にはこれらのどちらかをやると良いでしょう。複合の問題なども多少含まれ、過去問に食らいつける力を養うことができます。
これらの参考書でも解いた後には、怪しい知識や疑問点があれば教科書と『新研究』に立ち戻る姿勢は欠かせません。この頃には知識が一応そこそこついていると思うので、細部の読み込みを織り交ぜても良いでしょう。
化学重要問題集についてもっと詳しい特徴や難易度、使い方などを知りたい受験生は以下の記事をチェック!
なお、学校指定レベルの問題集が気に入らなければ『化学の新標準演習』も良いですが、難易度的には学校指定とこの『重要問題集』などの間ぐらいで量も多く、帯に短し襷に長しという感じもあります。ただ、『化学の新研究』と同じ著者が書いていることもあり解説が詳しいので、好みはあるかもしれません。どちらにせよやると実力がつくのは間違いないです。
卜部 吉庸『化学の新演習』三省堂
難易度が非常に高い問題が多く、ここまでやるのは少しマニアすぎるかもしれません。私は化学科志望ですし、化学で勝負をかけるつもりもあったのでこれをやっていましたが。
解説は詳しめで、標準的模試で偏差値65以上、難関模試(駿台全国)で偏差値60以上向けです。ただ『重要問題集』『標準問題精講』をやり終えたら不安な分野だけこれをやるという手もあります。必須ではありませんが。
化学の新演習について特徴や難易度、使い方などをもっと詳しく知りたい受験生は以下の記事をチェック!
井邊 二三夫『東工大の化学15カ年』 教学社
『東京工業大学への理科』駿台文庫
重要問題集が終わってまだ余裕があったらこちらを進めましょう。『新演習』よりこちらの方が良いかもしれません。
ただ『15カ年』は最近の易化の前の問題のほうが多く、やりきるにはとてつもない時間が必要ですし(物理の『15カ年』と違い)挫折を味わうかもしれません。
『東京工業大学への理科』は物理とセットなので、こちらだけ買ってやるのがコストパフォーマンス的にも良いでしょうか。ただ難易度は同様に高いので全てやる時間はないかもしれません。
東工大化学の過去問の使い方
化学は過去問演習が大切!
化学は特殊な問題に対応するため、過去問を十分研究する必要があります。2013年以前とその後で難易度がかなり違いますが、演習は2013年より前もやりましょう。
過去問は10月〜11月ぐらいから始めよう
過去問を始める時期としては、直近5年ぐらい分は共通テストが終わった後にとっておき(この姿勢は他の科目も同じです)、その前のものや『東京工業大学への理科』などは10月〜11月ぐらいにやるのが良いと思います。
もちろん、10月時点で歯が立たないこともあるので遅らせる、もしくは『東京工業大学への理科』は省略するのもありです。
おわりに
1類の化学科以外志望や4類・5類の方は、なかなか化学にモチベーションを見出せないでしょう。一応4類は材料で、5類は半導体の関連で化学が入ってきますが。
それより重要なのは、受験化学は「体系的に知識を身につけそれを使って数値問題と知識問題の融合を解く」という練習であるということです。
そう捉えるとまんざら無駄とは言えないのではないでしょうか(もっとも、私個人は無駄な知識なんてなくどこかで必ず役に立つと思っていますが。例えば一般的に販売されている水素水を偽と見分ける力とか)。
*この記事は東工大対策特集の記事です*
東工大対策特集では東工大の対策法を科目ごと紹介しています。
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