浪人生が成績を伸ばし切るために欠けがちな5つの重要ポイント
こんにちは、早稲田大学教育学部出身 イクスタ代表・イクスタコーチ/土井万智(どいまさと)です!
賢くスマートに大学受験を攻略する4つの方法 - 土井万智(どいまさと)の公式ページ
イクスタコーチでは受験生と週1の面談で志望校合格をサポートしており、浪人を決めた受験生の勉強計画や細かい小テスト、日々のタスクチェックや志望校決定をサポートしています。
いろいろな浪人生とガチで面談して、全ての計画、全ての教材を共有し議論しながら合格するための行動計画やメンタルサポートを行っています。
毎年4月ごろから、浪人を決めた受験生と1年の計画を立て直すのですが、それまでの勉強内容や考えてきたことを伺うと共通点があります。ネガティブな共通点があって「現役で受験を開始した時に知っておいて欲しかった...」点も多々あるので改めてお伝えしていきます。
今浪人を考えている方も現役生でも、保護者の方も絶対に知っておいて欲しい内容です。
成績が全然伸びない5つの勘違い、というテーマで大事なことをお伝えしていきます。
・予備校の教材や内容をとりあえず1周するだけ
・英文法の理解が不完全
・正解率20%以下の問題集を続けている
・逆算の考え方をしていない
・数学の定番問題に抜け漏れがある
予備校の教材や内容をとりあえず1周するだけ
大手予備校の教材は悪くはないですよ!決して悪くはないし、標準的なレベルは7割ほどは網羅しているので悪くはないです。
ただ、7割ほど網羅しているというのがポイントで、「この教材だけをこなせば共通テストや国公立二次、難関私立の入試問題で合格最低点を上回ることができる」というのものは稀です。あえてあげるとすれば漢文、公民、理科基礎は80%程度得点できる教材はあり得るかもしれません。主要科目ではほぼあり得ないと考えています。
私自身大手予備校で働いていましたし、昨年のイクスタコーチ受講生で医学部専門コースがある九州・中国地方の最大手予備校にも通っていたイクスタコーチ受講生のさまざまな相談にのっていた経験からこうお伝えする必要があると感じています。
国公立二次や難関私大の個別試験で出題されるレベルで合格最低点である65%を取るためには複数の教材を完璧にしていく必要があり、予備校の教材だけで終わらせるのは現実的ではありません。本来は予備校の教材だけで合格最低点が取れるようになって欲しいところですが、現実はそうなっていません。
成績が伸びきらなかった受験生のあるあるとして、高3の4月など受験を本格的に始めて予備校に入った際に「とりあえず授業に合わせてこれらの教材をだいたい終わらせれば良さそう」と考えてしまいます。
ここまでお読みの方はもうお察しの通り、当然これだけでは全然足りないわけです。
今の自分の実力から合格最低点を取るためには、現在どんな知識や技術、解答パターンが足りていないのか、予備校の授業や教材ではどんなことを学ぶことができるのか、予備校以外に自分で学ぶべきはどんなことか、を明確にして自分でやるべきはどんなことかを決定する必要があります。
また、大学受験は時間という限られたリソースをどう活用するかもとても大きな課題です。
いつどんな時間を使えば、合格最低点に近づくことができるのかをカレンダーなど使いながら丁寧に管理していく必要があります。
予備校の教材は悪くないはずですので、最低でも2周、できれば5周ほどして、教材に掲載されている問題のどんな問題の解説も、他人に聞かれてもできるようにマスターする必要があります。予備校の教材だけではなく市販の参考書も同じく、他人に聞かれてもどの問題も解説できるようにする必要がありますね。
同じ教材を繰り返すのは飽きてしまって面倒ですが、限られた時間でできる限り成績を伸ばす戦いの中においては、どんな教材も1周だけではなく、答えの出し方をほぼ即答できるくらいまで繰り返してくださいね!
英文法の理解が不完全
受験生全員が使う英語、その中でも基礎の範囲に含まれる英文法についてです。
英語で得点するためにはどのような知識や技術が必要か分かっていないと、英単語や長文をたくさんやりたくなってしまいます。鉄壁や単語王などの難しい単語帳だったり、夏前から長文をたくさん読んだりしたくなってしまうのですが、一番大事なのは英文法です。
イクスタでは文法四天王と呼んでいるVintage、ネクステ、スクランブル、UPGRADEの英文法問題集はほぼ全員の受験生が使っています。これらの文法四天王は、MARCHや地方国公立レベルに合格するためには7月末くらいまでには8割以上を仕上げることが重要です。
どの問題も正解できるようになるのはもちろんのこと、どんなルールや知識をもとにその正解を導くことができるのか、なぜその選択肢以外は不正解なのかを例えば後輩にも説明できるレベルで理解する必要があります。
文法四天王レベルを完璧に理解することが必要なのはお分かりいただけたかと思いますが、英語を始めたばかりだと文法四天王レベルに到達していない場合もあります。
文法四天王は網羅性が高いものの、各問題の解説は簡潔です。そのため「四天王の問題は解けるようになったけど同じような問題が出された時に自信を持って解けるようになるか分からない」という状態にもなりかねません。
そんな場合には授業タイプの教材かスタディサプリがおすすめです。
スタディサプリであれば関先生の英文法シリーズを制覇すること、教材や参考書であれば東進の渡辺勝彦先生もしくは今井宏先生の英文法授業上下巻がおすすめです。
文法四天王レベルの問題を9割以上説明できるようになるまでは英語は文法に半分くらいの時間を割くべきです。単語は標準レベル、一文読解や構文なども同時並行しつつも英文法を中心に考えてください。
正解率20%以下の問題集を続けている
英語の長文読解や化学、物理で陥りがちなこの問題。
「もう夏だから」「直前期になってきたら」と焦ってこれらの難しい問題集に入ってしまいがちです。
英語長文では「やっておきたい700」「ポラリス」シリーズなど、
化学は重要問題集、物理は名問の森などがこのパターンに該当します。
それぞれの問題集は難関大学に合格するためにはとても強力な問題集であるのは間違いないのですが、始めるタイミングが難しい教材です。
英語であれば文法まで、化学であればセミナーやリードaなど、物理であれば良問の風やリードaなど、一段基礎寄りの参考書をほぼ完璧と言えるまで繰り返して理解することが必要です。
時間がない、と焦ってしまう気持ちは分かりますが、最難関の教材に入る前に標準レベルを完璧にする方が入試の合格点を取るためには近道です。
問題集でも過去問でも「正解率30%以下は難しすぎ、80%以上は簡単すぎ」のレベルと判断してください。この正解率を使って自分がやるべき教材の適正レベルを判断してくださいね。
逆算の考え方をしていない
大学受験は社会に出てからの仕事と同様、期限があります。仕事では一定の成果を出すための期限が決められていることがほとんどです。納期という呼ばれ方をすることもありますね。
大学受験も全く同じで、今日から入試日までの残り期間は決まっており、勉強できる時間も決まっています。
この限られた時間というリソースをどう有効活用する必要があるのかを明確に決めなければいけないわけです。
「この教材を完成できるまで頑張る」「数学ができるようになるまでやり続ける」という考え方は足し算の考え方です。高1だったり趣味であればこうした考え方を適用することもできるのですが、大学受験という限られた時間の中で一定の成果を出す必要のあるプロジェクトでは足し算の考え方を適用することはできず、逆算の考え方が必要になります。
「この教材は◯月◯日までに完成させる」「◯月末までには英語リーディングは80点取れるようになる必要がある」こうした考え方が必要なわけです。
今使っている教材、各科目の点数など、あらゆることについて、いつまでに終わらせなければいけないのか、目標として定める必要があります。
目標を定めるためには、自分が合格できるまでにあと何が必要なのかが見通せていなければなりません。
大まかに各科目の基礎、応用レベル、過去問の3ステップがあり、それぞれ2-3冊の教材が必要になります。そしてそれが受験科目分... 国公立理系志望だと管理する情報量がとっても大変ですね。
高1くらいからコツコツ勉強していない限り、逆転合格するためにはこうした計画や作戦こそが重要です。
頭が良い人が合格できるのではなく、合格最低点まで実力を伸ばすことができる人が合格できます。
限られた時間、環境、才能の中で、少しでも合格最低点に近づくためにはどうすればいいか、考えて考えて考え抜くことが求められます。
数学の定番問題に抜け漏れがある
最後に、数学の注意点に行きましょう!数学は大学受験の中で一番時間のかかる科目だと言ってもいいでしょう。全くのゼロから難関国公立や早慶の理系を目指す場合、数学だけで1000-1500時間くらいかかる場合もあるくらいとても重い科目です。
難関大学を目指す場合には難しい数学の問題集をこなす必要があり、ただでさえ問題が多い数学でましてや英語や理科などとも並行にして進めなくてはなりません。
「学校の授業はなんとなく聞いてただけで成績は真ん中くらいしか取ったことない」という受験生の場合、マセマなどの大学受験の一番簡単な教材から始めた方が良く、一番簡単な教材から最難関までは問題だけでも1000-1200問あり、これらを何周もして完成させるためには1000-1500時間程度が必要になるんです。
ありがちな要注意パターンは、「学校で数学は真ん中くらいだけど青チャートを始めてざっくり何周かする」パターンです。青チャートは網羅的なのでこの参考書さえ完璧になればどの大学でも過去問演習を始められるくらいの実力をつけることができますが、始めるタイミングをミスると無駄になる参考書でもあるのです。
具体的には、青チャートは解説が少なく、なぜそうなるのかを理解しにくい参考書なんですね。
問題数が多いのと引き換えに、式の展開や変形、なぜその公式を使うのかの説明が最低限なので、理解に繋がりにくい参考書です。パターンとして覚えるには良いのですが、共通テストや入試問題を見た時に、なぜその解答方法になるのかが辿り着きにくい教材です。特に2022年以降の入試では、パターン暗記では得点しにくくなっていく傾向が明確に出ています。
学校で配られるので青チャートから始めようか迷っている受験生も多いのですが、まず書店で「マセマ 初めから始める」と「マセマ 初めから解ける」という参考書をじっくり立ち読みしてみてください。
この2つの教材の問題を8割以上正解することができるようであれば、青チャートやフォーカスゴールド、レジェンドなど難しい教材に入っても大丈夫です。逆にこれらの教材で半分くらいしか分からないようであれば、青チャートなどの分厚い教材に入るのは危険です。逆に成績が伸びるまでに時間がかかってしまいます。
着実なステップを踏む方が時間のロスが少ないので注意してくださいね!
そして、始めた問題集は完璧にしてください。受験学年の8月頃になると時期的にも過去問を始めなければならないと感じ始めます。そこで、問題集がほぼ完璧になっていないのに過去問を本格的に始めてしまうようなことがないようにしてください。
例えば青チャートに掲載されている基本例題や前述のマセマに掲載されている問題は全てが定番問題です。これらがほぼ完璧になっていないのにも関わらず過去問を始めても、過去問の意義がなくなってしまいます。
過去問をやった方がいいとアドバイスを受けるかと思いますが、それを鵜呑みにするのではなく、なぜ過去問をやった方がいいのかを自分で考えて、過去問演習の目的を達成できるタイミングで始めてください。
> 9月以降に過去問を始めるタイミングと何年分解くのが正解? - イクスタコーチ/土井万智(どいまさと)
ここまで、浪人生が成績を伸ばし切るために欠けがちな5つの重要ポイントをご紹介してきました。学校や予備校で授業を受けているだけだとこうしたメタ的な視点から受験を見る機会は少ないかと思います。
何をどれくらい勉強するか、という視点とともに、いかに勉強するか、いかに少ない努力で成果を出すか、にこだわりたいです。
もし浪人の方法に迷っている場合には、サイト下部のお問合せかイクスタコーチお申し込みページからご連絡いただければご相談にお答えいたします!
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頭で描いて、心でやり切る。/土井万智(どいまさと)/早稲田大学教育学部出身/イクスタ代表