国際基督教大学の編入と一般入試の対策について
国際基督教大学のタイヨウです。現役時代の2022年2月、大学受験で第一志望として国際基督教大学を受けましたが残念ながら合格することはできず、立教大学社会学部に進学しました。2023年に編入試験を受けて国際基督教大学2年生に編入することができました。この記事ではICUへの編入の仕組みとICUの一般入試の対策について解説します。
編入試験って?
日本ではいくつかの大学で2年次か3年次からの編入を受け入れています。編入とは、高校までで言うところの転校のようなものです。多くの大学では3年生になるタイミングで編入できるシステムです。
編入するための試験の内容は大学院の入学試験に近い形式が多いです。編入先の大学・学部で学びたい科目についての問題と英語の2科目が課されることがスタンダードです。
編入試験は大学受験と比べて受験者数が少なく過去問や回答を入手するのが難しいため対策しづらいのが難点です。SNSなどの編入志望者が集まるコミュニティに入ると情報を得やすくなります。
国際基督教大学の編入試験の内容・形式
国際基督教大学は2年生になるタイミングでの編入を受け付けています。もし1年生後期に編入試験を受けて合格できればそのままICUの2年生として編入でき、4年間で大学を卒業できます。一方2年生になってから編入試験を受けると、仮に合格できてもICUでもう一度2年生から始まるため、そこから3年間に大学に在籍しないと卒業できません。つまり大学に5年間在籍することになります。
ICUは編入対策のための情報が豊富
国際基督教大学の編入試験は問題が一般入試と同じ、つまり過去問を入手しやすいという点でとても対策しやすいです。大学の公式ウェブサイトに書いてある通り、国際基督教大学の編入試験は一般入試と同じ問題が出題され、大学受験生たちと全く同じように評価・採点されます。問題が一般入試と同じなので過去問が出回っており、他の大学の編入試験に比べると対策がしやすいです。僕のように再挑戦の場合は受験期に受けたテストと全く同じ形式を受けられるので有利です。
ICUの入学試験は単純暗記を求められる科目がないので、仮面浪人のように改めて大学受験のために多くの時間を使うようなことはしなくても大丈夫です。英語を自分で勉強する以外は普通に大学の勉強をする、ICU独特の入試問題に対応するために読書経験を積むのがそのまま対策になります。
編入した場合の単位と卒業までの仕組み
前の学校の単位を60単位まで編入できます。英語の単位は編入されないのでICUの必須科目である英語の授業ELAを受けないといけません。ELAは最初の1年の授業の⅔を占めて、2年目の1学期で終わります(ICUは3学期制)。2年生から編入生もELAは1年生と一緒に受けます。
編入できる単位の基準
大学では全体の評価が100点中60点以上を取った科目は単位になりますが、ICUの単位編入では70点以上の科目しか編入できません。僕の場合、立教の1年生で42単位とっていました。英語10単位と70点未満以外の30単位を申請して合計30単位編入されました。
転入生は卒業を1年伸ばす場合が多いそうです。編入できた単位が少なくて3,4年で授業と就活が両立できなかったり、留学したり、もっとICUで学びたいという人が多いそうです。
編入後の友人関係は?すぐ馴染める?
ICUの学生はフレンドリーです。しかもELAのクラスは1年間とても頻繁に会うので仲良くなりやすいです。規模の小さい学校なので、生活していればELAのクラス以外でも何かと知り合いになれます。イベントやサークルもあるので馴染みやすいと思います。
編入生はほとんどのスケジュールが新入生と同じなので一個下の人たちと友達になりやすいです。僕の場合友達知り合いは同じ編入生以外は27の人(ICUは学年の代わりに卒業年をよく使います。例えば僕は2026年卒なので何年生か聞く場合はID は?26です!という感じになります)ばかりです。感覚的には早く卒業する浪人生みたいな感じになります。
ICU編入生の経歴
僕の代の編入生は全部で18人。そのうち半分弱は外国の人です。18人のうち半分弱とは仲良くなり、出身校を聞いてみると、僕含めマーチ、慶應、女子大、海外大学からの人がだいたい同じ割合でいるという感じです。年齢は大学2年の学年の人が半分くらいで、大学3年の学年の人、もっと上の人が結構多く幅広いです。
ICUの編入試験 一般入試A方式とB方式
一般A方式は英語、総合教養、人文社会科学を受ける入試、一般B方式は出願要件でTOEFL80以上もしくはIELTS6.5以上で、入試自体は総合教養と面接です。出願要件の英語検定の点数を取るのがとても難しいので日本で小中高を過ごして入試を受ける人にはB方式はまず要件の時点で出願自体の難易度が高いです。
公式ページで色々な入試の要件を見てみると、日本の受験生の多くの人にとって、全部の形式を含めて一般A方式以外を受けることは現実的ではないと思います。また、A方式は定員240人、B方式は定員10人とAの方が定員が多く毎年倍率も低いです。そのためA方式を受けるのがおすすめです。僕も大学受験時と編入時、2回ともA方式だけを受験しました。
大学生で編入試験を受験予定の方はB方式を併願することでチャンスが増えるので頑張ってTOEFLやIELTSの勉強をするのもありだと思います。
2025年からの変更予定
ちなみに2025年から入試が変更されます。1番大きいのは一般A方式の定員が大幅に減らされ、他のAOや帰国生の定員が増えることです。どの大学でもAOや学校推薦などが増えていて今後も増えていく予定ですが、ICUは元々入学者の6-7割は推薦系で入ってきています。
そもそも一般入試の定員が少ないと言う点で、ICUは今の日本の教育や受験に反対しているということでもありますが、一般入試の代わりに増えている推薦系の入試は一般入試と比べて、誰にでも受験資格があるというものではありません。唯一誰にとっても広く機会が開かれている一般入試の定員が減るのはとても残念に思います。
ICUの一般入試 対策 科目別
まず前提として国際基督教大学の問題は全て選択式です。配点は英語90点、総合教養80点、人文社会科学80点です。そして得点調整は中央値です。合格点は素点で6割強くらいだと思います。
国際基督教大学は英語のイメージが強いですが、配点は他の私立大学に比べて英語の比重がかなり軽くなっています。あとで紹介しますが入試全体で1番比重を占めているのは日本語の読解です。その出来によっては英語が4-5割でも合格できます。
この読解力は受験の現代文のように短期間で対策することが難しいです。まだ高校一年生で受験まで時間があるならば背景知識をつけたり大学で読むような文に慣れるために人文学や社会科学の本をたくさん読んでおくといいと思います。
英語の対策
英語はリスニング30分、リーディング60分で配点は90点です。英語はTOEFLのリーディングとリスニングに似た問題です。文章はかなり難しいです。問題の内容は大意を聞くものが多いです。リスニングも最後の問題は長文的なものが読まれるので難しいです。
大学受験で使うターゲット1900などでは足りないので、まずはTOEFL80点レベルの単語をやりましょう。TOEFLテスト英単語3800がおすすめです。アプリもあります。例えばこの単語帳ならランク2までの単語を覚えるといいです。
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長文問題の構造を見抜く方法
あとは英語の文の構造を一度頭に入れておくといいと思います。英語の文は最初がイントロダクション、中に幾つかのボディーパラグラフ、最後にコンクルージョンという構成でできています。イントロダクションでは最初に読み手の関心をひくフック、次に背景、最後に文全体の主張であるテーゼステートメントがきます。
ボディーパラグラフはテーゼステートメントをサポートする理由などを書きます。ボディーパラグラフの構造は最初にそのパラグラフのトピックと主張を示すトピックセンテンス、次にその主張のサポート、最後に結論としてトピックセンテンスと同じことを言い直します。
コンクルージョンは最初に結論としてテーゼステートメントをいい直し、次にボディーパラグラフの内容をまとめて、最後に追加でなにか言うという感じです。大体同じことが色々なサイトに出ていると思うので調べてみてください。大学にすでに入っていて編入試験を受ける場合は大学の授業で文の構造が叩き込まれるので大学の授業が役に立つと思います。自分は立教大学の英語の授業がかなり役立ちました。
ただ実際の問題は一部を切り抜いていたり、パラグラフ何段落にもわたって同じトピックについて話していたりするので、この形のままの文章が出ることは少ないです。
リスニングは過去問と何か好きなアニメを英語みたりやTEDedなどをみるというのがおすすめです。ぼくはZ会の過去問と、YouTubeに公式があげているムーミンを見ていました。
総合教養の対策
総合教養の試験時間は50分です。まず初めに日本語のリスニング問題が10問あります。リスニングの長さは年によりますが約15分、残りの時間で3つの問題文の読解を解きます。一つの文に対して設問は10問ずつ。問題文の内容はまず最初に人文学、次に社会科学、最後に自然科学です。結構な量を読んで解かないといけないので時間は厳しめかもしれません。
以下のは2020年の総合教養の問題についてまとめた表です。40問のうち21問は読解、10問は聞き取りなので、40問あるうちの30問は内容が理解できているかが問われます。一度解いてみれば分かるかと思いますが、内容の理解を求められると言っても国語の文章読解とはまた違います。もっと大意をとる感じです。本を読むときは現代文のようなテクニックやルールは使いませんが、背景知識をつかいます。そういう読み方に近いです。
残りがグラフの読み取り、計算、知識問題などです。理系の問題や一見知識が必要そうな問題でも文章からヒントを集めて考えれば全く知識がなくてもできる物も多いです。比重が少ないので、内容を掴んだり考えたりする問題がどれくらい取れるかにもよりますが、純粋な知識問題は比重が軽い上に範囲が広すぎるのであまり対策する必要はないと思います。
2025年から文章が3つから1つになるなど問題が変わるようなので2025年以降受ける人はチェックしておいてください。
2025 年度以降の入学者選抜の変更点について - 国際基督教大学 公式Webサイト
人文社会科学
人文社会科学も80分。下の表は2018年の問題を分析したものですが、これを見ると現代文(読解)が28問で最も多いです。読解は総合教養の読解と同じようなものです。
この人文社会科学については世界史のヨーロッパやアメリカ、西洋哲学史はよく出ますし、読解する上で使えるので一通り把握しておくのがいいと思います。
最後にICUの受験に役立つサイトを紹介
国際基督教大学(ICU)入試過去問題ライブラリー
メールアドレスで登録するとたくさん過去問演習ができます。最新の年度もあります。ICUの過去問サイトならこれがダントツで良いと思います。
https://www.liberalarts.biz/icu - MILE: 武蔵野自由英学塾
ウィークリージャイアント
ICUの新聞サークル。受験生向けの入試問題についての記事や編入について解説した記事があります。
http://weeklygiants.co - The Weekly Giants Online
立教大学から国際基督教大学に編入した僕が、2つの大学に在籍したからこそ見えてきたICUならではの魅力を紹介してますのでこちらもご参考になれば!
なんでも学べて自由でオープンな国際基督教大学ICUを在学生が紹介します! - イクスタ
執筆:タイヨウ 立教大学社会学部→国際基督教大学、イクスタコーチ卒業生
イクスタの創業者、土井による論理的・戦略的な受験計画と戦略の作成
過去問に入る時期や基礎完成の時期などいつ何をやればいいか、完全にコントロールできるようになる必要があります。
> 論理的で抜け漏れのない受験計画の立て方が分かる イクスタコーチ